菅総理、「天下り根絶」の方針はどこへ行ったんですか?
官僚の勝ち逃げを許す「退職管理基本方針」を閣議決定

 菅直人総理は就任早々、「官僚の皆様は政策のプロフェッショナル」と表明した。では総理、あなたは30年も政治家をやっていて、政策はプロじゃないのか、と言いたくなる。アマチュアなら4300万円の総理の給料は国庫に返納すべきだ。

 政策は官僚に任せ、政治家は選挙と党内抗争(「反小沢」)に明け暮れていればいいというのでは、昔々の自民党時代のようなものだ。

 しかも、その選挙が、政策論争とは程遠い。今回の参院選で、菅民主党は明らかに、「政策で勝負」しようとしていない。

 マニフェストやCMを見ても、売りは「サラリーマンの息子が総理に」といった生い立ちなど。「他党より優れた政策」をPRしようという意欲はほとんど感じられない。

 こうして、民主党も自民党も、同じような政策を掲げ、ともに大きな政府・官僚主導・増税路線になってしまったのだろう。

 しかし、人気の高いうちに選挙をやってしまおうとしても、メッキは剥がれ、ボロが出てくるものだ。鳩山内閣は、口先だけでも「脱官僚」と言っていたので多少歯止めは効いたが、菅内閣はどうやら歯止めがなくなったようだ。

筋金入り改革派官僚を厄介払い

 新内閣発足後早々、6月22日に閣議決定された「退職管理基本方針」には仰天した。同方針では、現職官僚が天下り法人に「出向」する場合は、天下りと扱わないという。鳩山内閣で独法の役員ポストには公募を課していたが、「出向」の場合には公募の対象外とする。

 本来、純粋民間であるはずの社団や財団にも、「休職」にして「出向」すれば天下りとは扱わない。

 現在の民主党政権の論理では、「出向は天下りとは別モノ」ということのようだ。しかし、実態として、従来、50歳代の官僚が退職して「天下り」していたのと、退職せずに「出向」という形式をとるのは、単なる形式の違いでしかない。

 「天下り法人への出向ならOK」というのでは、かつて民主党が高らかに唱えていた「天下り根絶」は何だったのか。「4500団体に2.5万人の役人が天下って、毎年12兆円以上のカネが使われている」という話はどこへ行ったのか、という話だ。

 こんな閣議決定をわざわざ選挙直前に行うことには、さすがに、民主党内でも異論があったと聞く。それでも閣議決定が強行されたのは、7月の定例人事異動で、「天下り法人への出向」を大量に組み込みたいという、役所の都合が優先されたのだろう。

 菅内閣では、官僚と「緊密な情報共有、意思疎通」をしているそうだが、官僚の若手クラスがこの「退職管理基本方針」について何と言っているか、総理はご存じなのだろうか。

 若手からは、「これで局長・部長クラスの幹部は勝ち逃げが確定」、「いずれツケを負わされるのは若手」とか、「自分の先輩たちがこんな工作をやっていると思うと、さすがに恥ずかしい」といった怒りの声が噴出しているのだ。