「もう敵いませんわ。山口組というだけでパクリよる。カシラ(若頭)狙いなのはハッキリしとるが、カシラは隙を見せるような甘い人やない。長引くやろな・・・」
山口組幹部が嘆息していう。

六代目山口組の司忍組長が、銃刀法違反で服役している間に、ナンバー2の高山清司若頭は、後藤忠政後藤組組長など反執行部勢力を除籍処分にするなどして排除。盤石な支配体制を築いてきた。
それは、司組長の出身母体で現在は高山若頭が組長を務める名古屋の弘道会が、圧倒的な力をつけることを意味した。構成員と準構成員を合わせて約4000人。力がつけば人もカネもなびく。
不動産、証券、芸能、興行といった暴力団との"親和性"の高い事業には以前から強かったが、近年、不動産流動化、上場企業の資本調達、芸能人の版権、といった「先端ビジネス」で活躍する企業舎弟やその周辺に生息する共生者は、弘道会をバックにすることが多くなった。
面白くないのは警察当局である。日本最大の暴力団である山口組のナンバー1とナンバー2がともに名古屋出身で、縦横無尽に振るまい、勢力を拡大させているのを、黙って見過ごすわけにはいかなくなった。
安藤隆春警察庁長官は、全国レベルで「山口組掃討作戦」を指示、なかでも弘道会については、暴行、傷害、恐喝、公務執行妨害、道交法違反、文書偽造、不実記載、宅建業法違反、みかじめ料要求などで、構成員とその周辺を軒並み逮捕している。今年4月、「弘道会特別対策室」を設置した愛知県警の資料には、「弘道会壊滅戦略」と書かれていた。
起訴できるかどうかは問わない。目的は、逮捕拘留の間に組織の弱点をしゃべらせ、「高山逮捕」に至る材料を集めること。その徹底した戦略によって、昨年1年間で約1000人の弘道会関係者が逮捕されたという。
もちろん、山口組本体への締め付けも厳しい。6月16日、北海道警と大阪府警は、山口組総本部事務所の土地を無許可で直系組長に売買したとして、「山口組カンパニー」といわれる株式会社山輝で役員を務める直系組長3人を逮捕、同社代表取締役の寺岡修若頭補佐(侠友会会長)を指名手配(後に逮捕)した。
個人間で不動産を売買することは違法ではないが、不特定多数への売買は「業」として行っているから宅建業法違反。確かにそうなのだが、「針の穴」を通すような犯罪の摘発である。また、それを北海道警と地元大阪府警との合同で行っているところに意気込みが感じられる。不法売買の端緒を開いたのが北海道警。警察庁が調整した。
山口組には、現在、86人の直系組長がいる。司組長の子分であり、高山若頭の指示に従う山口組の中核だが、山輝事件までに今年に入って7人の直系組長が逮捕されており、都合、11人となった。
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