伊藤博敏「ニュースの深層」
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「法務省解体」を恐れる検察の「小沢捜査」

「国策捜査」か、それとも必然か

2010年01月09日(土) 伊藤 博敏
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 『読売新聞』は元旦号の一面トップで、小沢一郎民主党幹事長の政治団体「陸山会」に生じている政治資金規正法違反事件をこう報じた。他紙も扱いこそバラバラだが、社会部のトップニュースは、「陸山会」が秘書宅として使用している都内の土地の購入を、当時の会計担当の石川知裕秘書(現衆議院議員)が、どのように処理したかに関する記事だった。

 問題となっているのは2点ある。ひとつは2004年10月に購入しているのに、なぜ05年1月と収支報告書に記載をしたのか、という疑問だ。もうひとつは購入費4億円をどこから調達したのか、ということだ。

 政界最大の実力者である小沢氏に生じた疑惑を最強の捜査機関である東京地検特捜部が捜査する――。今年の社会事件の“目玉”が「小沢捜査」にあるのは明白だ。だからマスコミは大きく報じた。その後も各紙が競い合い、特捜部が小沢氏から任意で事情聴取するという報道も出ている。

 しかし、小沢氏は会見などで「半年の登記のズレなどよくあること」と述べている。確かに登記が遅れるケースはままあることだ。また4億円の出所についても、小沢事務所は30億円以上の政治資金をプールしているわけだから、どこからか“ヤリクリ”したものとも思える。いまのところ何が疑惑の核心なのか判然とはしないのに、これほど報道があふれているのはなぜなのか。

 実は、今回の疑惑報道を読み解くには別の視点が必要なのである。

 事件の背後にあるのは「小沢VS検察」という対立構図だ。田中角栄、金丸信といった二人の“親父”を逮捕された小沢氏には、検察捜査に対する抜き難い不信がある。その小沢氏が、政権交代を成し遂げて、まず手をつけているのが「霞が関の解体」である。その作業を進めるために、事務次官をなくし、ピラミッド型の階級社会を壊し、首脳級官僚のの人事権を政治家が握ろうとしている。

 この方針に、厚生労働省や農林水産省などの行政官庁はやむなく従っている。しかし、法務省とその特別機関である検察庁はそうはいかない。最高検検事総長は法務相の指揮は受けるものの、天皇の認証官として法務事務次官より序列は上なのである。また、検察庁は検察官各人に捜査権と公訴権が与えられた独任官庁で、政治権力や行政権力を監視する役割を担っている。

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