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SFCG元会長 大島健伸容疑者「418億円資産隠し」カネ貸し帝王の素顔
都内一等地には35億円大豪邸。
しかし、すでに妻の会社名義に
上空から眺めて初めてその威容が確認できる。敷地内左奥、テラスの手前がプールになる。高塀で囲まれているため、道路からは何も見えない〔PHOTO〕鷹野 晃

 東京都内でも屈指の高級住宅地、渋谷区・松濤。この地は、政財界、芸能人の中でも限られたセレブリティが居宅を構える街として知られてきた。その一画に一際目を引く邸宅がある。

 まずは写真をご覧いただこう。これはまさに「要塞」である。敷地をぐるりと囲む塀が凄い。その高さは4mを超える。敷地面積は約1900㎡、地上2階、地下2階、別棟まで付いている。

 堅牢な石造りの高塀に囲まれたこの豪邸こそ、稀代の"カネ貸し帝王"として名を馳せた商工ローン大手、SFCG(旧商工ファンド)元会長の大島健伸(けんしん)容疑者(62)が住んでいた邸宅である。

 なんとも贅沢な作りだ。ちょうど写真中央辺りに見えるのがテラス。建物は壁とともにすべて白で統一されていて、周囲の緑に映えて美しい。天気のよい日にはのびのびと寝そべるのだろう、テラスにはデッキチェアも用意されている。

「会社の破綻後、大島元会長は一時、都内のホテルを転々とする日が続いていました。ここにはボディガードも多くいるのですが、以前は別棟で、大島元会長とボディガードが熱心にトレーニングを積んでいましたね」(SFCG関係者)

 しかしながら、現在、この要塞の主は不在である。というのも、主は今、厳しい取り調べの中にいるからである。

 6月16日、警視庁は大島容疑者ら4名を民事再生法違反(詐欺再生)や会社法の特別背任などの疑いで逮捕した。大島容疑者らには、民事再生手続き中の'08年12月頃、SFCGが所有していた簿価計418億円分の不動産担保ローン債権を、実質的に支配していた信用調査会社に事実上無償で譲渡し、資産を隠した疑いが持たれている。

 今回の逮捕容疑となった418億円にものぼる隠し資産。実は、大島容疑者が逮捕前に"蓄財"した資産のほんの一部にすぎないという。SFCG破産管財人代理の柴田祐之弁護士は、こう指摘する。

「これまでに、SFCGから大島氏の親族会社などに流出した資産は、2670億円にも及びます。松濤の邸宅は、SFCGが破産手続きに入る前に妻が代表を務めていた会社に所有権を移転し、SFCGに賃貸しする形が取られていました。

 そしてSFCGの破綻直前には、月額1525万円だった賃料を3150万円にまで増やしている。また、大島氏自身の役員報酬も、2000万円から9700万円に増額した。様々な手段で資産の移動を図ったのです」

回収資産にはならない

 大島容疑者は慶応大学商学部を首席で卒業後、三井物産を経て、'78年、30歳でSFCGの前身となる商工ファンドを設立した。たった5人でスタートした会社だったが、銀行の貸し渋りに悩む中小企業にターゲットを絞り、事業を拡大させ、'99年に東証一部上場を果たす。

 '98年には米経済誌「フォーブス」の世界長者番付で、174位(資産総額2520億円)にランクインするなど一世を風靡した。その頃、大島容疑者は周囲に、「'10年には社員3万人、102社を擁する国際的な企業グループを率いる」と豪語していた。

 しかし―。

「'99年頃に、強引な取り立てと過剰融資が社会問題化し始めた頃から形勢が変わりました。'06年からは、利息制限法を超えた金利の返還請求訴訟の敗訴が続き経営を圧迫。'08年には、主要な資金調達先だった米証券会社リーマン・ブラザーズが破綻し、'09年2月に民事再生法の適用を申請しました」(全国紙経済部記者)

 その土地、建物しめて「35億円はくだらない」(不動産鑑定士)という邸宅だが、回収資産にはなっていないという。前述のように、民事再生法の適用を申請する数年前に既に妻の会社名義になっていたからだ。そのため、大島容疑者は破産しているにもかかわらず、逮捕直前までこの贅を尽くした邸宅に住み続けていたのである。

 日栄・商工ファンド対策全国弁護団東京事務局長の和田聖仁(きよひと)弁護士はこう憤る。

「これはいわば、客の生き血をすすって建てられた豪邸です。特に、'08年のリーマン・ショック後は、違法な取り立てに拍車がかかった。資金難を乗り切ろうと、債務者4万人に対し一括返済を迫ったのです。きちんと返済している客に対しても『明日までに返済しろ』と恫喝まがいの文言を浴びせたと聞いています。

 人件費の安い外国人社員も雇い入れ、客の家ばかりか勤務先まで追い込みをかけた。このような常軌を逸した取り立てを展開したのです。大島容疑者は、速やかに隠し資産を弁済に充てるべきです」

 現在、大島容疑者は警視庁の取り調べに容疑を否認した上で、黙秘しているという。債権者、被害者たちのためにも、捜査当局による資産隠しの全容解明が待たれる。

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