緊急レポート 電力会社の利権を奪えば「脱原発できる!」「ニッポンの自家発電」はすでに原発60基分!

2011年06月12日(日) フライデー

フライデー経済の死角

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資源エネルギー庁の資料に基づいて、編集部で作成

 右のグラフは、全国の自家発電を発電の種類ごとに分けて、認可出力(注)の合計を示したものである。自家発電施設は3249ヵ所あり、うち2569ヵ所が火力発電だ。

 一目瞭然だが、火力の自家発電だけで日本の原発全54基の総認可出力を上回っている。水力などを加えれば原発60基分に相当する。そしてその多くが稼動せず、〝眠っている〟可能性が高いのだ。

 総務省統計局や電気事業連合会が公表した '08 年のデータによれば、日本の火力発電所の最大発電量は約1兆2266億kW/h。

 しかし、その稼働率は50%程度に過ぎず、原発で発電していた約2581億kW/hを補って余りある。それに加えて、この〝埋蔵〟自家発電がある。「厳しい夏になる」(水野社長)などと、電力会社は原発なしには夏を乗り切れないかのような〝脅し〟を繰り返すが、本誌が何度も指摘してきたとおり、電気が足りないわけではない。

 しかし、この自家発電力を有効に生かすのを阻む壁が存在する。電力会社の利権である。この利権は企業の自家発電がさらに広まるのを阻む壁にもなっている。

「そもそも一つの電力会社が、ある地域の発電も送電も小売も独占するというのは、戦後の復興期だから必要だったシステムです。工業生産が伸び、その電気需要に応えるために必要だったわけです。しかし今の時代に、地域独占が必要でしょうか?」(自家発電設備を持つある事業者)

 日本の電気事業は、10電力会社による地域独占体制が続いているが、前述した電気事業法の改正で発電と小売の一部が自由化され、独自に発電や電力供給を行う事業者が誕生した。業態によって、「卸供給事業者(IPP)」、「特定電気事業者」、「特定規模電気事業者(PPS)」などに大別される。

 IPPは、電力会社に10年以上にわたって1000kW以上を供給する契約などを交わしている事業者のことで、大阪ガスの子会社である「泉北天然ガス発電所」などがそれに当たる。

 また、特定電気事業者は限定された区域に対し、自らの発電設備と送配電設備を用いて電力供給を行う。六本木ヒルズに電気を供給する森ビルの子会社「六本木エネルギーサービス」や、首都圏の鉄道に電気を供給するJR東日本が代表的だ。一方、PPSは、工場や病院など一般家庭以外と50kW以上の契約をして電気を供給する。オリックスや昭和シェルなどが参入している。

「このPPSが電気をどんどん作り、市場が活発になれば電気代も安くなるはずですが、電力会社がそれを阻んでいます。PPSは自前の送電設備を持たないため、電力会社の送電網を利用するのですが、その際に『託送料』がかかり、この負担が大きいのです。電力量によって変わりますが、客が支払う電気代の約2割を、託送料として電力会社に支払わなければなりません」(前出の事業者)

次ページ  さらにこんな障壁もある。 「…
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