全国民必読 口蹄疫地獄 絶望の町からの報告

菅総理、この「最大不幸」を放っておくのですか

 外出禁止、結婚式にも出られない・・・

 口蹄疫の「被害」とはここまで深刻だったのか。菅総理は畜産業者への補償を約束しているが、カネだけで解決できる問題ではない。拡大する一方の病は、地域に、人の心に、深い爪痕を刻んでいる。

夏祭りも花火大会も中止

「あんた、宮崎から来たのか?」

 宮崎県内ではいまも新たな口蹄疫感染の報告が続いている。なかでも都城市で感染が発覚して以降、隣県の鹿児島県では「いつ県境を越えてもおかしくない」と、完全に"臨戦態勢"に入った。冒頭の一言は、本誌記者が都城から車で15分ほどの距離にある鹿児島県曽於市内で取材した際、複数の畜産関係者から投げかけられた言葉だ。

埋却地に運ばれる殺処分された豚

 宮崎で取材した後に来ているなら、口蹄疫ウイルスを運んできている可能性がある。まずそれを確認しないと、絶対に畜舎に近付けるわけにはいかない。

「もし鹿児島に口蹄疫が入ってきたら、国と宮崎の東国原知事に賠償請求しますよ。だって、そうでしょう。

 一つの農場で一頭でも口蹄疫が出たら、全部殺処分するというのは法律で決まっている。それなのに種牛だけは特例を認めろとか、自分たちのことしか考えていない。

 菅さんだって、宮崎に行って、補償のことばかり言っているけど、そんなのは後回しでいい。とにかく一刻も早く収束させなければならないんです」
(鹿児島県鹿屋市和牛振興連絡協議会の末吉哲男会長)

 "震源地"の宮崎県内の様子は後述するが、鹿児島県下で全国でも有数の畜産地である鹿屋市では、畜産関係者が自主的に外出を控え、万一の場合に被害を最小限に抑えられるように対策を取っている。

 市内の観光スポットである「かのやばら園」も入園禁止、すでに夏祭りや花火大会の中止も決まった。とにかく、人が集まればそれだけ被害が拡大する可能性が高くなるからだ。商店街ではシャッターを下ろした店ばかりが目立ち、日曜の昼でも人通りはほとんどない。

 同市内などで養豚業を営む北村雅之氏が語る。

「心配しているのは、鳥がウイルスを運んでくるんじゃないかということです。宮崎でもっとも感染の多い川南町では、まだ3万頭くらいの牛や豚が、埋却地がないからという理由で殺処分されていない。

 でも、その間に口蹄疫ウイルスがインフルエンザウイルスのように変異する可能性もある。いま使っている消毒液が効かなくなったら、九州だけでなく、全国にウイルスが蔓延しますよ。早く川南町の家畜を処分して埋めてもらわないと」

 同業者として宮崎県内の畜産業者の苦労はわかる。それでも言わずにはいられない。すでに経済的ダメージは充分すぎるほど負っているのだ。

 たとえば、鹿児島県内では、宮崎県内で口蹄疫第一号が出て以降、牛のセリ市は完全にストップしている。

 通常、セリ市では生後8ヵ月から10ヵ月の子牛が売られるが、2ヵ月近くセリがないために、次々に生まれる子牛を入れる牛舎のスペースがない業者も多い。そういう業者は、口蹄疫に冒されていなくても、生まれてくるそばから子牛を殺すことを余儀なくされている。

 もっとも、経済的ダメージを負っているのは畜産業者だけではない。

「市の職員やJA関係者、畜産農家の方が外出を控えているから、飲食店の売り上げも激減しているようです。我々も本来ならお中元シーズンで、ハムやソーセージで利益を出せる時期なんですが、このままでは死活問題です。

 私は、宮崎の川南にも知人がいるんですが、その方に聞くと、あちらでも町に人がいないそうです。レストランで売り上げが10分の1になったところもあるようで、畜産関係はある程度、補償があるけれど、そういうところはそれもないから大変でしょう」
(鹿屋市で食肉加工業などを営むクリエイトファームの枦川勝志代表)

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