ソフトバンク孫社長が打ち出した「電田構想」は脱原発の福音か、 それとも補助金狙いの新規事業か脆弱な電波状況と財務体質を抱えながら

2011年06月07日(火) 町田 徹
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 秋元レポートを読んで、筆者はデジャブ(既視感)に捉われた。というのは、本コラムでも昨年5月から同11月にかけて3回にわたって取り上げた、孫社長の「NTT解体論」(光の道構想)と、今回の主張に共通点が多いからだ。

 孫社長はいずれの場合も、大きなトレンドをうまく捉えて、受け入れやすい正論を主張しながら、肝心のところで根拠の乏しい試算を持ち出して、自社への政策支援を取り付けようとしているのである。

公的資金をフル活用する思惑

 こうした主張と無縁と思えないのが、ソフトバンクの財務体質だ。

 同グループは、日本テレコム、ケーブルアンドワイヤレス、ボーダフォン・ジャパンなど過去の大型買収が響き、借金漬けになっている。

 孫社長は、一昨年3月末に1兆9400万円あった連結ベースの純有利子負債を2015年3月までにゼロにする目標を掲げているが、今年3月末の時点で、まだ1兆2000億円以上もの純有利子負債が残っている。目標実現への道程は遠く、太陽光発電に自前で積極投資をする余力がないのだ。同社の広報部は「開示していない」と詳細を語りたがらないが、主力銀行からも「財務制限条項」と呼ばれる厳しい手かせ足かせをはめられており、その経営の自由度は極端に限定されている。

 ここで、もう一度強調せざるを得ないのが、秋元教授が問題視する太陽光で発電した電気を既存の電力会社が全量買い取ることや、農地の利用規制緩和、あるいは府県による休耕地供出に孫社長が拘っている点である。公的支援をフル活用して、ノウハウのない事業への参入実験を果たしたいという孫社長の経営戦略が透けて見える。

 孫論文を待つまでもなく、電力の世界では、原子力発電は安全や廃棄物処理のコストが嵩み、以前考えられていたような低コストでないことが明らかだ。

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