企業・経営
日本風力開発の“危機”が証明する新興市場の粉飾体質

不祥事続出で株価はストップ安
伊藤 博敏 プロフィール

 08年度末の時点で日本の風力発電の総設置基数は1517基である。1980年に初めて設置され、00年以降は急速に増えたが、それでも1517基。しかも、近年はペースが鈍化、国内機の設置数は、06年度61基、07年度5基、08年度25基に過ぎない。どう逆立ちしても、115基の販売手数料を得るのは無理だろう。

 そうした疑念をもとに取材、記事にしたのだが、日本風力開発の説明は要領を得ないものだった。

「115基分の代理店販売はあまりに多いのではないか」 という質問に、管理部・財務IRグループはこう答えた。

「建設会社は日本製鋼所と日立製作所から直接、仕入れるので115基分の内については、当社は関知していません」

 日本風力発電は、「販売代理店」として、日本製鋼所と日立製作所の製作する風力発電機を扱う。購入するのは工事を請け負ったゼネコン。ゼネコン―発電機メーカーの間に入っているだけなので、契約の内容には関知していないというのだが、これはいかにも苦しい説明だった。

 一基あたりの代理店手数料は約3000万円。それだけの手数料が得られるのは、日本風力開発グループの発電所だからで、全部把握してしかるべきだ。「関知しない」といったのは、多年度にわたる利益の“先取り”を知られたくなかったからだろう。

 それだけ同社は苦しい状況に置かれていたわけで、「神風決算」と皮肉を込めて記事にしたのだが、その時は“工作”を認めた新日本監査法人も、無理な収益計上を可能にする「覚書」が複数、出てきたのでは、修正を強硬に申し入れるしかなかった。

公表売り上げ118億円でも実態は3億円

 日本風力開発は株価が急落、信用が失墜しただけではない。今年の期末には、マレーシアの無名企業から「200億円を受注」と発表した。これも“眉唾”の決算対策だったが、計上を新日本監査法人に拒否された。つまり国内でごまかしが効かず、海外に逃げた印象で、それが塚脇社長の「自己株対策」でもあったとなると、この会社の将来は危うい。

 それにしても無理を重ねる新興市場企業は、日本風力開発だけではない。

 今年5月、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の疑いで強制調査を入れたエフオーアイは、09年3月期の売上高を約118億円と公表していたが、実際の売上高は3億円程度。なんと97%を水増ししていたというひどさだった。

 半導体製造装置メーカーとして、一時は業績が良かったものの、ベンチャーキャピタル向けについたウソが恒常化、業績は右肩下がりなのに、作られた数字だけは好調で、09年11月にマザーズに上場を果たす。が、さすがに見破られて半年で正体が割れた。

 それにしても、こんな杜撰なウソをつき通す神経とはどのようなものなのか。

 日本風力開発やエフオーアイだけではない。マザーズには、事業規模が小さい分、「ごまかしは効く」といった証券市場をなめたような経営者が少なくない。

 新興市場経営者のコンプライアンスをどう確保するか。悲しいことに、99年末の市場開設以来の課題がまだ残っている。