「民主党にすり寄り」などと報じるメディアの無責任
菅首相とは哲学も政策も政治手法もまったく違う

 菅直人氏が首相になって、民主党の支持率が回復した。表紙を替えただけで、中身は変わらないのに。自民党は、昨年の総選挙での敗北を反省することも自ら改革することも放棄し、ひたすら敵失に頼ってきた。だから、民主党の支持率が上がると、相対的にダブルスコアで民主党に引き離されてしまう。

 そもそも、参議院選挙前に鳩山由紀夫と小沢一郎が役職を辞めることを想定しないことは、執行部として失格である。せめて、もっと早い時期に内閣不信任案か問責決議案を提出すべきであった。

 私が、自民党を離党し、新党改革を結成したのは、参議院選挙で民主党の過半数を阻止するためである。そのうえで、選挙後に政界再編成を行うことを目標としている。この点においては、まったくぶれていない。

 それにもかかわらず、一部マスコミは、私の発言(政界再編成の部分のみ)をとりあげて、「民主党にすり寄り」だと間違った報道をしている。

 どのような意図があって、このようなねじ曲げた解釈を垂れ流しているのであろうか。新聞社にシナリオを書いてもらって、政治行動をしているのではない。日本のマスコミは憲法上の三権以上に権力は持っているのに責任はとらない。

 菅直人首相と私とは、哲学も政策も政治手法も対極にある。

 もし菅政権が参議院選挙後も続くのならば、私こそが、それに対する対立軸を提示できると自負している。単純化して言えば、中道左派の菅直人と中道右派の舛添要一との対立である。

 これからは、右も左も、極端なのは国民の広範な支持を得ることはできない。したがって、中道の中で、社会主義への道を歩むのか、それとも自由な経済社会を守るのかの対立となる。

 まず、経済政策については、菅首相は分配重視、成長は二の次である。しかも、「第三の道」というのは、ヨーロッパ思想の借り物であって、なんのことか分からない。結局は、公共事業であり、「第一の道」と同じになってしまう。

 介護や医療が内需拡大効果の大きいことは認めるが、しかし、そのための財源をどこから調達するのか。結局は、経済成長によって、外貨を獲得し、ニューマネーを作り出すしかない。GDPが500兆円から480兆円に減少する状況で、どうして財源が増えるのか。

 そこで、唐突に消費税を10%に上げるという提案である。この8ヵ月間、菅さんは財務大臣として何をやってきたのか、財務官僚に洗脳される毎日だったのか。

 私が厚生労働大臣だったときには、社会保障国民会議で、きちんとしたシナリオを書いて消費税率アップを論じた。今回は、シミュレーション一つ示していない。こんなことで、財政健全化検討会などに参加できるわけがない。

ガラパゴス化する日本

 私は、これまで20年の停滞を「日本のガラパゴス化」と称し、大阪経済特区などを活用して、日本企業が熾烈な国際競争に勝ち残ることができるように条件整備をすることを提案している。

 あくまでも成長重視、それを前提にしたセーフティネットの拡充である。自由な市場経済を前提とすることは言うまでもない。経済や財政の基本的素養に欠ける者が、日本という大国の総理大臣であってよいのであろうか。

 外交安全保障についても、まったく同様である。この分野で素人であることは、菅首相は鳩山由紀夫前首相と五十歩百歩である。8月末に辺野古の代替施設の工法を決めることができるのか。菅さんに、アメリカや沖縄県民との信頼関を再構築することができるのであろうか。

 日本丸を操縦技術の欠如した船長に任せてよいのであろうか。市民運動出身であれば、蟻の目で身近な「不幸」をとりあげ、「最小不幸」を目標にすることはできるであろう。しかしながら、鳥の目で、日本という大国を長期的視点から国際社会の中に位置づけることなど、考えたこともないであろう。

 私は、国家を経営し、統治するという視点を一刻たりとも忘れたことはない。大臣として、新型インフルエンザなどの際に危機管理に全力をあげたのは、そのような視点を堅持していたからである。

 菅首相に、口蹄疫が発生しているのに海外に物見遊山に出かけるような閣僚と同様の資質しかないのなら、日本のために直ちに退陣してもらいたい。

 私は、いつでも日本の危機を救うために責任を負う覚悟はできている。

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