「仕事をしなければしないほど辞めなくて済む」 菅首相の「居座り」は国民にとって最悪の展開

2011年06月04日(土) 長谷川 幸洋
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 鳩山由紀夫元首相が「身をお捨て願いたいと話した。首相と鳩山の間で合意した」と発言すると、いわば退陣表明がなんとなく本当であるかのような雰囲気になって結局、内閣不信任案には反対する流れが出来てしまった。

 マスコミもテレビが「退陣表明」と一斉に速報し、新聞は夕刊で追従した。実際には「空気のような退陣表明」にすぎなかったのだ。

 一昔前の自民党時代であれば、それでも、後進に道を譲る意思を表明した首相が居直るような事態にはならなかったかもしれない。政治家にも、それなりの矜持があった時代である。

 ところが、菅にはそんなプライドはかけらもない。3日午前の閣議に臨む菅は満面の笑みをたたえていた。「不信任案さえ否決してしまえば、後はこっちのもの」という感覚なのだろう。醜悪としか言いようがない。この国はこういう総理を戴いていたのである。

 鳩山は3日朝になって、菅を「ペテン師」と呼んで、怒ってみせた。鳩山も騙されたように見えるが、本当だろうか。私は鳩山も菅が「後で約束を破るかもしれない」という懸念を抱いていたと思う。それでも話に乗ったのは、党の創設者として「民主党を壊したくない」という別の思惑があったからではないか。

 騙されるかもと知りながら「党を壊さないですむなら」とその場しのぎで延命の片棒をかついだ。それなのに菅が露骨に延命を言い出したので、頭に来たのだ。どっちもどっちなのである。

 鳩山という政治家のでたらめさは米軍普天間飛行場の移設問題で暴露されている。そういう詰めの甘さ、行き当たりばったりの政治手法が今回も表れたにすぎない。

ぎりぎりで兵を退いた小沢一郎

 小沢一郎元代表はどうだったのか。

 小沢グループはそれなりに不信任案賛成・棄権票を集めていたと思うが、鳩山や中間票の動向が重要な鍵を握っていた。もしも民主党分裂・集団離党で新党結成ともなれば、鳩山の資金力に頼る可能性もある。

 その鳩山が菅と握ってしまい、不信任案否決に転じたとなれば「撃ち方止め」とならざるをえない。中間派も離反する中、小沢グループだけで突撃すれば採決に敗北したうえ、最悪の場合、少数で党を追い出される事態にもなりかねない。そうなれば、党を追い出された小沢と手を握る勢力はいない。永田町の異端児集団になってしまう。

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