勝間和代(経済評論家)×高橋洋一(嘉悦大学教授)vol.3
「経済政策も投資もわからないことに手を出すから失敗するんです」

vol.1 こちらをご覧ください。

vol.2 こちらをご覧ください。

勝間:素朴な疑問なんですが、日本国債はなぜ94%を日本人が買ってるんでしょうか。

高橋:これはカントリー・バイ・アスっていうやつで、説明が難しいです。はっきりいえば趣味嗜好の世界ですね。

 ひとつあげるならば、日本人は英語を含めて、外国語が読めないからというのも理由ですね。やっぱり外国の国債を買うためにはちゃんと説明を読んで理解しなきゃいけないでしょ。やっぱり英語だから読みにくいと避ける人も多い。日本人はやっぱり日本語が好きっていうのが、カントリー・バイ・アスのひとつの理由です。

勝間:そのために円の超過需要が生じて、為替が実力より円高になっているんじゃないかっていう議論があります。

高橋:為替っていうのはよく分かりません。そもそも為替の水準がどこが適正かなんて、人それぞれですよ。

 需要の話だけをすれば、もちろんそういう議論もできます。でも為替っていうのはやっぱりフリーなマーケットで決まっていますからね。それについて自分のポジションとしては文句があるかも知れないけど、だから不適切な相場だというのは言えないですよ。

勝間:現状のマーケットとして、それが適正だと思っているのが、いまの価格だということですね。

高橋:それしかいいようがないです。だからそれが自分のポジションによって、金融業者が、これもう少しそうじゃなくなったほうがいいっていう気持ちは分かります。気持ちは分かるけど、為替水準について誰も文句いえないですよ。もちろん介入があれば、その政策を批判するのはありですが・・・。

勝間:ホーム・バイ・アスが94%もあることについても、それが事実であり、いいか悪いか、適正か適正じゃないか、という議論は意味がないということですね。

高橋:そうです。だって(日本人が外国債を)好きか嫌いかの話しですからね。そんなこといったら、じゃ、日本人の多くはなぜ日本人と結婚するんですかっていうのと同じような質問です。

 英語が話しにくいからとかね、説明すればそういうことになっちゃうでしょ。でもたぶんこういうことの説明って、ほとんど意味がない。

勝間:なんでこの94%という話しをしたかというと、よくギリシャとの比較でギリシャの国債は外国人が買ってるけれども、日本の国債は日本人が買ってるんだから大丈夫だという議論がありますよね。

高橋:正直言って、そういうのはあんまり根拠レスなんです。実は誰がどこで買おうと、国債の安全性とはあまり関係ないわけですよ。

 いくら私が関係ないっていっても、そんなことはないだろ、関係あるんじゃないかと思い込んでいる人が多いので、根拠を示しましょう。過去200年間の外国人が持ってるのと国内人が持っている国債とのデフォルトの確率を計算するとですね、1800年代はほぼイーブンなんです。1900年代の頭だけほんのちょっと外国人の率が高い。

 だいたい1930年代までかな、外国人の率が高いのは。それ以降、いままでもイーブンです。統計的にいうとですね、200年間見ると、外国人が有利なのか国内人が有利なのかという話しをすると、ほぼイーブンなんですよ。

勝間:あまり変わらないわけですか。

高橋:いろんな国の200年間のデータを統計分析すると、実は差がないということしか出てこないんです。

金融商品の説明に行き詰まる業者

勝間:ギリシャ危機について話を戻すと、私たちが思い出すのはリーマンショックのことです。最初は甘く見ていたら、いつのまにかダーッと類焼したという記憶がある。今回も、それを恐れている部分があると思うんです。いわゆるリスクがリスクを呼ぶのではないかという心配がある。

高橋:リーマンはシャドーバンク(投資銀行)に影響があったり、ほんとに金融資産に影響があった。投資銀行やファンドにはデタラメな商品が山ほどあるからね、それはそれで深刻でした。

 リーマンショックの原因は、金融工学の専門家からちょっといわせてもらうと、あれはほとんど素人同然の人がああいう複雑な取引を扱うからなんですよ。実はああいう金融商品を作るときのトラックレコード(収益実績)の取り方っていうのいうはすごく恣意的な感じがします。営業サイドの事情が優先しちゃうわけですね。

 だからおそらく説明してる人もモデルを知らないで説明するわけです。これははっきりいって大変ですよ。

勝間:売りたいターゲットがあって、それに向けてデータを取ってきて作るわけですね。

高橋:こういう技術が進歩すると、素人が使うようになるわけです。その結果、何かが起きたときに対応できない。大変なことになりますよ。

 だから私は、もしそういう金融商品や取引を持ちかける金融業界の人が来たときは、ちょっとモデルを説明させるんです。そして少し聞いてみる。そうするともう2、3分もたないで説明が破綻してアウトなんだ(笑)。

 1個、2個質問するとバタッと倒れてしまう(笑)。

 しかし、売る側も買う側もそれくらい知らないとほんとは扱っちゃいけないんだよね、ああいう商品は。私の感じからいうと、非常に簡易なね、エッと思うようなシンプルなモデルを作りながら恣意的なデータ処理してたのが多かったよ。

勝間:そうしますとストレステストにせよ、なににせよ非常にあまいわけですか。

高橋:ストレステスト以前にモデルが間違っている。

勝間:モデルが違う。

高橋:私がクォンツ(高度な数学的手法を使い、投資戦略や金融商品を開発・分析する専門家)だから分かるけど、クォンツくらいのレベルの人がもうちょっときちんと見なきゃああいうのダメですよ。だから営業サイドの人では無理だと思うね、ああいう取引を扱うのは。

勝間:そうすると規制サイドの問題もありますね。

高橋:規制サイドにもある。分からないですからね。ちょっと技術が進展が激しくなるとこういうことがあるんですよ。誰も扱えなくて分かんなくなる。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら