雑誌
悪いのは東電ですか、政府ですか、
それとも国民ですか悪いのは東電ですか、

東電少年の「投書」で大激論
避難民に土下座する東電幹部。謝って済まないこともある〔PHOTO〕gettyimages

「東電だけを悪者にするのは無責任。日本人全体に責任がある」という小学校6年生ゆうだい君に、大人は何と答える

 少年犯罪が続発したとき、「なぜ人を殺したらいけないのか」という子どもの問いに、大人が頭を悩ませたことがあった。今回の問いは、それより難問かもしれない。日本を原発列島にしたのは誰なのか。

原発を造ったのは誰ですか

〈突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です〉

 こんな書き出しで始まる一通の「投書」が大反響を呼んでいる。この投書は毎日小学生新聞編集部に届けられたもので、都内に住む小学校6年生「ゆうだい君(仮名)」が、その筆者。

 内容は同紙3月27日付紙面に掲載された元毎日新聞論説委員で経済ジャーナリストの北村龍行氏が書いた「東電は人々のことを考えているか」というコラム(「NEWSの窓」)に反論するというもの。投書は5月18日付の毎日小学生新聞に掲載され、翌日には毎日新聞夕刊社会面でも大きく取り上げられた。

 小学生新聞に掲載された手紙が毎日新聞本紙に転載されること自体、珍しいことだが、この反響について、毎日小学生新聞編集長の森忠彦氏はこう語る。

「ゆうだい君の手紙を紙面に掲載したのは、原発問題の本質を率直に書いていると思ったからです。その後、読者の小学生に原発をどう思うかについて、紙面で『ゆうだい君への手紙』を募集したところ、続々と手紙が寄せられています。みんな、原発問題を自分のこととして考えていますね。

 また、この手紙は毎日新聞でも紹介されましたが、ゆうだい君の問いかけには子どもだけでなく、大人もズキリとさせるものがあったということでしょう」

 手紙の中身を紹介する前に、この「東電少年」が反論したという北村氏のコラムの内容を簡単に見ておこう。同コラムは、東電という一つの会社が起こした原発事故が、日本社会に与えた影響の大きさを綴った後、事故処理に躓いていることを指摘し、その理由を東電が地域独占で競争がなく、危機対応能力を磨く訓練を受けていなかったからだと述べている。

 子ども向けに書かれたものだけに、結論部分も、東電のような会社に原発運営をまかせていたのは「本当はとても危険なことだったのかもしれない」と極めてシンプルだ。

 これに対して、「東電少年」ゆうだい君は、次のように反論するのだ。

〈(北村氏のコラムを読んで)無責任だ、と思いました。(略)

 原子力発電所を造ったのは誰でしょうか。もちろん、東京電力です。では、原子力発電所を造るきっかけをつくったのは誰でしょう。それは、日本人、いや、世界中の人々です。その中には、僕も、あなたも、北村龍行さんも入っています〉

 こう書いた後、少年は、発電所が増えたのは、日本人が電力を過剰に消費してきたからであり、なかでも原発が増えたのは、地球温暖化を防ぐためだと主張する。ここまでは、まるで原発推進派の言い分そのもの。彼が推進派の大人たちと違っているのは、地球温暖化を進めたのも世界中の人々で、だから、

〈原子力発電所を造ったのは、東電も含み、みんなであると言え、また、あの記事が無責任であるとも言えます。さらに、あの記事だけでなく、みんなも無責任であるのです〉

 と続くこと。もし、東電社員や原子力村の住人たちが同じことを口にしたら、それこそ袋叩きに遭うのは目に見えている。もっとも、ゆうだい君は「僕は、東電を過保護しすぎるかもしれません」と自分の立ち位置まで冷静に分析しており、実に心憎い。そして、みんなで話し合うことが大事だと締めくくるのだ。

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