新総理・菅直人 その野望
この日をじっと待っていた男

 この男にとっては、ようやく手にした総理の座だったのだろう。

 6月4日に樽床(たるとこ)伸二議員を破って民主党代表に選ばれた菅直人は、鳩山辞任の観測が流れ始めた6月1日の小鳩会談以降、その高揚感を隠しきれない様子だったという。

「国会の居眠り王」がついに

「小鳩退陣の2~3日前から菅さんは上機嫌でした。6月1日に閣僚が揃ってかりゆしを着たときも、記者たちは『チンピラみたいだ』と言い合っていましたが、本人だけは『どう、似合ってる?』と浮ついていた。ついに自分に順番が回ってきたと思っていたんでしょうね」
(財務省担当記者)

 1996年に厚生相として薬害エイズ問題に取り組んで以来、「総理大臣にしたい人物」では常に名前が挙がりながら、民主党設立を挟んで、足掛け15年越しの悲願。いつも以上に目尻が下がってしまうのも致し方ないところである。

 その菅新総理に対して、周囲がもっとも心配しているのが、酒癖の悪さだ。

 総理を意識し始めた最近でこそ、極力外出を控えていたようだが、菅氏の酒好きは有名で、同じグループの若手を誘って呑むのはもちろん、銀座のカウンターバーで一人で酔いつぶれていたという目撃談もある。

 深酒がたたってか、国会で居眠りをすることもしばしば。今年3月にも、国会で自民党議員から「国会の居眠り王」「『官から』ならぬ、『菅から』だ」と揶揄されている。

 国会で居眠りするのはもちろん許されることではないが、有事の際に総理が二日酔いで、対応が遅れるなんてことがあれば、国家の危機に直結する。

 また、菅氏は財務相時代から消費税増税論者だが、民主党が4年間は上げないと言って総選挙を戦った手前、「次の衆院選までは上げないが、議論は必要」という慎重な態度を示してきた。ところが、これも酒が入ると一変してしまう。

 今年度予算が成立して半月余り経った4月16日。菅氏は予算成立の慰労を兼ね、財務省幹部と会合。その後、普段はあまり記者の夜回り取材を受けない菅氏が、珍しく番記者10人ほどを自宅に上げて、オフレコ懇談を行った。すでに酒が入っていた菅氏は上機嫌。

「消費税は15%がいい」と大演説をぶったのである。

 財務省キャリアが言う。

「記者に教えてもらったのですが、菅さんは増税分の25兆円を介護や福祉、年金に充あてれば国民は納得すると話し、突然『俺は景気対策をダイナミックにやりたいんだ』と叫んだそうです。さらに、一度15%に上げて、景気が戻ったら消費税減税をやって8%くらいに下げると具体的に話した。

 『鳩山総理は4年間は上げないと言っていますが』と聞いた記者には、『なにぃ、俺が政権を担当したら別の話だ』とタンカをきったとか。増税論者の菅さんが総理になるのは、ウチとしては大歓迎です」

 菅氏もさすがに言い過ぎたと思ったのか、それ以降は自宅での記者懇談は全面禁止になった。

 さらに、消費税増税に留まらず、菅氏は予算編成の仕組みそのものを変えるという野望を持っているという指摘もある。野党時代から菅氏を知るブレーンの一人が語る。

「菅さんは昨年6月にイギリスに行きましたが、そこでイギリスの大蔵省の研究をした。あちらでは、予算は総理と財政担当大臣が相談して枠を決める。それを各省に配分する方式です。

 日本の省庁からの積み上げ方式とは正反対。配分した予算は、各省の大臣がそれぞれの権限で使えるが、どれくらいの成果を出すかという達成目標を内閣と約束する。この方式を取り入れることが、総理になったときの目標の一つなのです」

 この目標が実現できれば画期的だが、もちろん一朝一夕にできるものではない。菅氏が自分の野望を叶えるには、1年ごとに代わるような政権ではなく、本格政権が必要となる。

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