賢者の知恵
2010年06月13日(日) FRIDAY

『ニコニコ動画』カリスマ投稿者ヒャダインの「もう一つの顔」

京大出身の京大出身の地味な男は、
6畳一間のアパートから道を拓いた

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「ヒャダイン」という名前の由来はゲーム『ドラゴンクエストⅢ』で出てくる氷系の呪文である〔PHOTO〕小檜山毅彦

 会員数1600万人を誇る動画サイト『ニコニコ動画』(通称・ニコ動)に、テレビゲームやアニメのBGMをアレンジし、オリジナルの詞を乗せて投稿する覆面アーティストがいる。

 その名は「ヒャダイン」。'07年12月に投稿を開始してから、素性を明かさず活動を続けてきた。作品総アクセス数は約3000万回に達し、ネット世界では"神"とまで呼ばれている。そんな彼が、この5月5日に自らの正体をカミングアウト。プロの作詞・作曲家、前山田健一(29)であることを明かした。

 代表曲は、昨年『東方神起』が歌ったアニメ『ONE PIECE』の主題歌『Share the World』や倖田來未(27)が妹のmisono(25)とコラボした『It's all Love!』など。いずれもオリコン1位を獲得した曲だ。

 なぜ、ヒャダインは正体を明かす必要があったのか。そもそもプロの音楽家が、匿名のネット世界に飛び込んだ理由は何だったのだろうか。真意を聞いた。

「2ヵ月くらい、ヒャダインとしての活動が空いちゃっていたんです。ブログも更新せず、楽曲もアップロードしなくて。

 その休止期間に、本業の前山田は、『ももいろクローバー』の『行くぜっ! 怪盗少女』という曲を作詞、作曲しました。これが、僕がヒャダインで作っていたものと同じように、"とにかく楽しませたい!"と思って出来上がった作品でした。それなら『ヒャダインは前山田ですよ!』とバラしてしまえ、と思ったんです。

 正直、『ニコ動』のユーザーはプロが嫌いだと知っていたんで、『否定的な意見が来るかも』と思っていたのは事実です。でも僕は"プロだった"のではなくて"ヒャダインを通じてプロになれた"んです。そのことをファンの方に理解して欲しかった」『ニコ動』に投稿し始めた当時、前山田としての活動は鳴かず飛ばずの状態だった。

 制作したほとんどの曲が、レコード会社が行う「コンペ」で落ち続けた。

「この世界では、よほど名前が売れていたり、実績を持っていたりしない限り、指名されて作らせてもらうことなんてない。僕はふてくされ、担当者への不信感もあって、所属していた作曲家事務所を辞めてしまいました。ただ制作意欲だけは失っていなかった。当時住んでいたのは中目黒の6畳一間、築40年くらいのアパート。

次ページ  その部屋の中で、音楽家として…
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