田原総一朗×上杉隆Vol.2「私が見た『機密費』と鳩山マネー」「政界とメディア」最大のタブーをすべて話す

2010年06月09日(水) 田原総一朗
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田原:わかってないわけね。

上杉:渡したことも認識してないのか、とぼけたのかもしれないし、あるいは秘書が気を使ったのかもしれない。ちゃんと本人に返さないと、間で抜いてたりされると誤解がどんどん広がりますね。

ホテルに現れた着物の女性

田原:もうひとつは、野中(広務)さんです。

上杉:まさに、私が官房機密費のことを書き始めたきっかけが、4月19日のTBS「ニュース23クロス」での松原キャスターとのあの対談ですね。

田原:これは怖かった。小渕さんが倒れたすぐあとですよ。総理大臣は森さんになってました。だけど小渕さんからだと言ってましたね。

 最初は、野中さんから電話がかかってきて、いいお茶が入ったと言うんです。あの人は京都ですからね。そのお茶を持って行きたいと、受け取ってほしいと。僕はいつもホテルのロビーの喫茶店にいますから、そこへお願いしますと言ったんです。そしたら、部屋を取ってくれと言う。僕はちょっとおかしいと思ったんで、いや、喫茶店で結構ですと。

上杉:人の目があったほうがいいですよ。

田原:多分、料亭の女将だと思う、着物を着た女性が紙袋を持っていた。「ちょっと重いですね。お金なら返さなきゃならないから、受け取らない」、「いや、西陣の生地が入りまして」とか押し返す。「でも、お金なら返さなきゃいけない」というと、「いや、絶対違います」と。で、最後は受け取った。隣にトイレがあるんで、そこですぐ確認しました。

 入ってるんですよ、おカネが。こうなると返し方が難しいんです、とっても。

 これね、現役の人だから、いいにくいんで名前はいいませんけど、僕のとっても親しい政治家に「こんなの受け取っちゃったから返したいけど」と(相談した)。返し方がとっても難しいんですよ、本人とケンカしたくないと思うから。「あなた返してくれないか」と頼んだら、「そんなことしたら俺は政治生命が無くなる。冗談じゃない」と逃げる。

 「誰なら返してくれるかな」と聞くと、「日本でいちばん力がある人なら返せるんじゃないか」と。「誰だろう」と聞くと、「日本でいちばん力がある政治家は約1名しかない」と。

上杉:森さんですか?

田原:まあね。約1名しかない。前に安倍さんのときにも返してもらっていますからね。電話すると「俺、運び屋じゃないぜ」と断られた。「とにかく頼む」と言っても、「田原さん、そんなことしたら俺、政治生命無くなる」と。

 で、しょうがない、野中さんの事務所へ電話したら、選挙の前でいないんです。それで、京都まで返しに行きました。丁寧な手紙書いて、「お気持ちはありがたい。野中さんの気持ちを傷つける気はまったくありません。ただ、こういうものを受け取るわけにはいかない、田中さんのときも返してる。申し訳ないけども」ということを言い添えて、置いてきました。

 そしたらその晩かな、野中さんから電話が来て、「田原さん、選挙終わったら神楽坂で一杯の飲もうや」と。で、食事しました。で、終わり。

上杉:終わりですか。

田原:一切そのことは言わない。返しに行くときに野中さんに電話したんですよ、「返したい」と。「いや、これは実は田原さんが、小渕さんにとってもいいインタビューをしてくれたお礼なんです」と言う。実際、小渕さんが倒れる直前に沖縄でインタビューをしました。「小渕がそれを感謝してる。竹下(登)も感謝してる。その気持ちなんだ」と。

上杉:でも、小渕さんはそのころ意識はないですよね。渡しやすいように、渡しやすいようにいってるのは野中さんのすごいところです。

クラブ記者が嵌る先輩記者とのジレンマ

田原:僕は実は怖いんですよ、ほんとに。僕はフリーだからまだいいと思う。新聞記者やテレビの人は返せません。だって先輩たちが前に受け取っているんだもの。上からは「おまえだけ、なんでだ」と言われる。

上杉:そうなんです。今回、取材して分かったのは、先輩たちに下の記者を呼ばせて、その帰り道に一緒に渡すんです。

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