高橋洋一「ニュースの深層」
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菅直人首相「第三の道」政策では経済成長も円安もムリ

「増税すると景気がよくなる」を検証する

2010年06月07日(月) 高橋洋一
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 菅直人新政権の経済運営がどうなるか。

 さっそく証券会社から「菅政権で成長する。円安にもなる。だから日本株か外債投資がおすすめです」との商売熱心な勧誘がきた。

 たしかに、今年1月初めの財務大臣に就任した当初は、財務省事務方の意向を無視して、円安発言をするなど威勢が良かった。ところが、財務省によって直ちにその発言は打ち消され、すぐに雲行きはあやしくなる。

 その後、菅財務相は1月下旬に国会で子ども手当の乗数効果(子ども手当の何倍のマクロ経済効果があるか)が答弁できず立ち往生。さらに2月上旬、G7会合で財務官僚の手厚いアテンドを受けた。

 そのあたりから、事務方との関係がずいぶん変わり、「菅財務相はよく勉強している」との意見が霞ヶ関に出回った。

 そして、案の定、2月中旬、菅財務相はテレビ番組で消費税引き上げを含む税制抜本改革を議論すると言い切った。それまでは消費税引き上げを議論するとしても来年以降と言っていた。それを変更して大幅に前倒ししたのである。

 これは菅財務相が財務官僚の手にうちに完全に落ちたこと、「菅落ち」を意味している。

 はたして菅新政権で、日本経済がどうなるのか。円安になるのだろうか。

 それを読み解くカギは、「脱小沢」と「脱・脱官僚(=官僚主導)」だ。脱小沢は組閣と党人事をみれば明らかである。

 一方、脱・脱官僚も、副長官に松井孝治氏(留任)と古川元久氏という、ともに経産OBと財務省OBを充てている人事をみれば明白だろう。菅首相は財務省の手に落ちているのである。

 そもそも「菅落ち」だったので、最初は脱官僚を大きくぶちあげていた鳩山政権とは大きくことなる。今月の新成長戦略や中期財政フレームをみれば、経産省と財務省が作っているのがみえみえのはずだ。(4月19日付け「参院選挙で問われる「増税か」「経済成長か」の政策競争 ダブル辞任、ダブル選挙まで何でもありの混迷政局」を参照)

 脱小沢と脱・脱官僚は、経済政策から見ると、増税路線で一致する。

 小沢氏は選挙優先の考えから増税に消極的である。政治的に脱小沢の立場なら、逆に増税を言い出せばいい。表向きとしては、財政再建のために増税から逃げてはいけないとかもっともらしい理由を立てるだろう。

 本来、財政再建のためならば、増税の前にやるべき手順がある。名目成長率を高め増収を図り、巨額な政府資産を圧縮し、公務員総人件費をカットしなければいけない。

次ページ  ところが、名目成長率を高める…
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