参院「問責決議」より衆院「内閣不信任」を優先する「民主・自民増税大連立」の都合
次は「増税」VS「反増税」が対立軸に
サミットが終わって、6月政局に突入 【PHOTO】Getty images

 いよいよ今週にも菅内閣に対する不信任決議案が野党からでてくるようだ。政治日程を考えると、6月1日(水)党首討論直後の可能性もあり、2日(木)衆議院本会議菅総理サミット報告、3日(金)参議院予算委員会集中審議と続く、その間で野党から出されるだろう。

 不信任案成立のためのハードルは高い。与党等319議席なので過半数240のために必要な与党内造反は81議席。民主党内に不満は高まっているが、除名処分されても、そのまま総選挙になってもいいと思う民主党議員がどれだけいるか。菅総理は支持している民主党議員は1割程度だろうが、それでも不信任案に賛成とはいかない。と考えるのが普通で、とても不信任案は成立しないだろう。

 もちろん政治の一寸先は闇なので、思わぬ展開もありえるが、不信任案が提出されても成立しないという、上のシナリオには民主党と自民党の双方にメリットがある。

 民主党にとっても、この騒ぎで菅降ろしができる可能性がある。こうしたときにはその功績でリーダーの椅子が転がり込むことがあり、主流派の人には総理のチャンスがでてくる。それで政権が維持できるのであれば、そのほうがいい。

 自民党も、内閣不信任案成立というより民主党内の混乱を誘う狙いだろう。そして大連立を仕掛けたいのだろう。不信任案はもっぱら原発事故対応である。

 5月31日(火)から復興基本法案で与野党修正協議がはじまる。民主党案と自民党案はどちらもスカスカで中身がなく、そっくりだ。両案ともに、今の中央集権体制を前提として地方分権の考えがない。償還財源でつなぎ国債を使った増税になっている。

 要するに、自民党は、中央集権体制の下の増税路線で、復興について民主党と連立したいのだ。復興利権に絡みたいのだろう。だから、内閣不信任案も原発事故を主な理由として、民主党内を混乱させ分裂を狙う。

 しかし民主党議員にも自民党の戦略がみえみえなので、おいそれと内閣不信任案に賛成することはないだろう。

 総理が変わるとすれば野党ではなく与党の力だ。与党内力学で菅総理が代わることはあるだろう。誰になるのかは、これからの政治対応次第だが、現政権に近く党内に敵の少ない軽量級かもしれない。被災地の玄葉光一郎政調会長、財務省推薦の野田佳彦財務相、代表経験者の前原誠司らには近々チャンスがくるだろう。

 このシナリオでは、民主党の増税路線が継続されてしまう。自民党執行部と同じなので、依然として大連立含みとなる。そして、そのためにこそ、自民党は衆議院での内閣不信任案を急いでいるのだ。

 もし参議院での問責決議を先にすると、参議院を勢いづかせることになる。参議院には、西岡武夫参院議長の呼びかけで発足している超党派の「増税によらない復興財源を求める会」がある。これは自民党の増税路線にとって不都合だ。

特例公債法が政局の軸に

 おそらく民主党内でも、菅政権の後継争いで、増税路線対非増税路線の対立がでてくるだろう。松原仁衆院議員らの「デフレ脱却議連」、川内博史衆議院議員らの「増税によらない復興財源を考える会」などが非増税路線を標榜している。

 自民党内でも、安倍晋三元首相を会長とする「増税によらない復興財源を求める会」が27日発足した。

 こう見てくると、内閣不信任案の否決されたあと、その後は、政局は復興財源で増税路線対非増税路線の対立軸がでてくるのではないか。


内閣不信任案の後には、参議院での問責決議が取り上げられるはずだ。それと関連して、今年度予算の特例公債法について衆議院を通過したが参議院ではまだ成立していないことも政局になりうる。

 今年度発行する特例公債(赤字公債)は38兆円。特例公債法なしでは2011年度予算の執行はできない。このことは内閣不信任と事実上同じだ。

 もっとも、この特例公債法ストップは、政権に有利となる可能性もある。現に米国では歳入がストップしたときに政府閉鎖になるが、1996年の時にはクリントン政権に有利に働いた。それもあって、財務省は特例公債法が成立しないと、6月にも政府活動に支障が出るといってきた。

 ところが、国庫の資金繰りは政府短期証券の発行や一般会計から特別会計への繰入を遅らせることなどで何とかしのげる。政府短期証券の発行枠は20兆円。一般会計から特別会計の繰入では、国債整理基金への定率繰入といわれる10兆円が大きいが、国債整理基金に余りカネがあるので、これを停止しても大丈夫だ。これらだけで赤字公債38兆円のファイナンスのうち30兆円はなんとかなる。

 このため、6月に支障が出るというのはオオカミ少年だ。いまでは秋まで大丈夫といっている。実際のところ年内はなんとかなるだろう。

 むしろ、復興財源作りで国債整理基金の余りカネ10兆円を使うほうが先決だ。資金繰りが大変で国債の信任が落ちるという財務省のブラフに引っかかり、このカネを復興財源にしないのなら増税路線に引き込まれてしまうだろう。

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