田原総一朗×上杉隆vol.1 「私が体験した『政治とカネ』のすべて」民主党政権も明かせなかった「政界とメディア」最大のタブーに挑戦する

2010年06月04日(金) 田原 総一朗
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上杉:判っていうのは?

田原:名前の下に押してあるわけ。封筒の中に、中身見なかったからわからないですが、100万円くらいだと思う。厚さから見て。

上杉:当時100万円って言ったらすごいですね。

田原:いや50万円かな(笑)、わかんないけど。たぶん100万だと思うけど。これ名刺代わりだと。「田原さん受け取ってくれ、受け取れ」と。怖いですよ。

上杉:名刺代わりってすごいですね。本人ですか?

田原:本人です、もちろん。ひたすら怖い。当時田中さんは自民党のドンだし、ぜんぶ仕切ってる。これを断ったら自民党、まあ田中派の取材はできない。ケンカになると。当時僕は40そこそこだったと思いますね。どうしようか、断ったらケンカになっちゃう。ケンカになったら取材できない。どうしようかと。

 もちろん受け取るわけにはいかない。悩みまして。時間にしたら5分もないと思いますが。で、非常に悩んでそこは実は受け取ったの。返す度胸なかった。そこで付き返す度胸なかったんですよ、ケンカになりますから。受け取って、すぐそのまま麹町にある田中事務所に行きました。

上杉:砂防会館?

田原:そうです。そこで秘書に、それを返したいと。どんな名目でもいいから、僕は受け取らないと、返しました。「なんでこんなもん返すんだ」と言うからね、「いやいやカネは必要なところには要ると思うけど、僕は必要じゃない」と。「こんなカネを受け取ったら田中さんに変な借りができたような気になって具合悪い、だから返す」と。いろいろ言ったけど受け取ってくれました。

上杉:田原さん、そういう経験、何度かあるんですか?

田原:はい。

上杉:私もかつて鳩山邦夫さんの事務所にいたんです。鳩山邦夫さんは、最初は田中さんの秘書でした。当時同僚の秘書は中村喜四郎さんとかです。憶測でモノを言ってはいけないけれど、田原さんが返したお金を、田中さんに戻ってない可能性もあるますよ。

田原:それはわからないけど。

上杉:だから誤解というか、田原さんの名前がいろいろ出てるわけですよ。実はほんとはもらってないのに、もらったことにされちゃうって話があるんですよ。秘書にしたら、帳尻合わせるためには、もらったことにしちゃえばいい。

田原:それ、あるんですよ。実はある政治家に地元で講演頼まれて行ったんですよ。帰りに秘書がお金を渡すんです。僕は受け取れないよ、と受け取らなかった。受け取らなかったら、その政治家に秘書は言わなきゃいけない。当然、政治家から電話がかかってくると思ってた。「いやあ、ああいうカネ受け取ってくれないの困るよ」とかね。かかってこないんですよ。

 そこで、僕はその政治家に電話しました。「実は悪いけど、この間カネ返したんだけど」と言ったら、「えーっ」と。言ってないわけ。

上杉:要するに抜いたわけですね。

田原:まあね。そのときにね、そういうことがあるんだなと思いました。

上杉:僕も秘書経験あるので、僕はそういうことはやってませんけど、当然ながら。要するに抜く人はいるんですよ。秘書の世界も記者の世界も、健全な人もいれば、不健全な人もいっぱいいるわけですね。

「小僧の使いじゃないんだぜ」

田原:もうひとつ言うとね、中曽根(康弘)さんのときですよ。

上杉:後藤田(正晴)さんですか?

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