田原総一朗×上杉隆vol.1
「私が体験した『政治とカネ』のすべて」

民主党政権も明かせなかった「政界とメディア」最大のタブーに挑戦する

田原:今日(6月3日)は忙しかったでしょう?

上杉:今、さっきも菅(直人)さんと樽床(伸二)さんの会見にいってきました。

田原:(Twitterに)樽床さんに靴を投げたいなんて書いてましたね。なんでなんですか?

上杉:あ、靴をですか?(笑)

 それは要するに、基本的に認識がまったく甘かったんですよ。僕も意外だったんですが。樽床さんは、ある意味、若手の保守のアニキ分として期待の星ですよね?

 松下政経塾出身のわりには、落選経験もあって、いわば地べたはいつくばったという感じの、いわゆるドブ板も知ってる感じです。

 若手の民主党議員もついて行く人が多い。ぼくも期待をして会見に行って質問したんですけど、鳩山政権、民主党がかかげたマニュフェストの中身をまったく理解していない。

田原:なんで菅さんと樽床さんの会見だったんですか? 

上杉:今日までに立候補を表明した人だけ。

田原:樽床さんは立候補を表明したってことね。

上杉:はい、推薦人集めたと。まだ出してはいないんですけどね。

田原:それでふたりは会見したわけね。

上杉:明日(6月4日)の午前9時までに他に出るかどうかというのはわからないので、不公平感があるかなという感じはするんですが、現時点で推薦人を集めた人だけ会見をした。

田原:マニュフェストを理解してないってどういうことなんですか?

上杉:民主党の173項目のマニュフェストもそうですけど、小沢代表時代の公約、5つの柱、その基本部分・・・たとえば具体的に質問したのは、国民の知る権利、情報公開、開かれた政治を作る、というのが民主党の柱なんですよ。その部分で官房機密費、記者会見のオープン化、情報公開制度は鳩山政権では中途半端になっている。

 樽床さんが仮に政権を取られた場合、それをきちんと、鳩山首相の意向、民主党の公約を守ってやるんですか、と聞いたら、「それについてはいろんな意見があるので、考えてみたい。私はまだ官邸に入ってないのでそのことは知らない」と言ったんです。

田原:マニュフェスト知らない?

上杉:私が質問したあと、民主党会見はオープンですから、フリーランスのJANJANの田中龍作さんという方が、また同じ質問かぶせたんですね。

 これまた「わからない」と。その後、やはりフリーランスの畠山(理仁)さんがもう1回かぶせたんですね。

「これは民主党の公約です。ずっと約束してたのにどうしてそういうことを言うんですか? 方針だけでも示すべきじゃないか」と言ったら、「いろんな方のいろんな意見があるので、様子を見ます」と。それでは今の鳩山政権より後退なんです。ご自身の政策もない、というか自分の党の公約も読まれてないのか、と。

 そういう意味で基本的に立候補するんだったら、それくらいせめて用意してると思っていたから、期待がドンと落ちた。

田原:なんのために立候補したんですか? 何をするんだと言ってましたか?

上杉:マックス・ウェーバーの言葉を引いて。

田原:マックス・ウェーバー!?

上杉:政治というのは情熱で、岩盤に穴をあけるのにトンカチや何かを使った地道にやる作業だと。民主党の若返り、というのと、あとはっきりしないんですが、あたらしい形のシステムというか、意識のもとやりたいと。「世代交代」という言い方をしてましたね。

 今の鳩山、小沢の両氏と、呼び捨てにしながら言ってましたけど、そのやり方ではない民主党を、クリーンな党を見せるんだという言い方をしていました。そのへんは抽象的でわかりにくかったです。田原さんご存じだと思いますが、樽床さんの弁舌は非常に見事なんで、通る声だったんですが、質疑応答の中身となると、不安がよぎる。

 特に沖縄に関しては、合意文書を「踏襲する」という言い方をしながらも、鳩山さんの両院議員総会の昨日の会見の話を、「思いを大切にする」と言ったんです。

田原:思いね。

上杉:ええ、鳩山さんの昨日の会見は事実上「常時駐留なき安保」に戻ってるわけですよね? だからそれも聞いてないのかな。心配だな。

田原:普天間の問題は、樽床さんはどうすると言ってるんですか?

上杉:今言ったように、普天間問題に関しては、鳩山さんが昨日言った思いを大切にすると。あれは、50年先とか言ってましたけど、独立した防衛ですよね、自主防衛というか。

田原:具体的にたとえば、普天間を日米共同声明では辺野古に移すと言いきってるわけですね。ところが沖縄の了解得てないわけだから沖縄には移りませんね。この部分、樽床さんは?

上杉:だから、その部分の認識すらなかったのかなと。最後に、沖縄の地元紙の記者が質問したんですよ。それに対してあいまいな答えだったんですね。だからその記者は繰り返し聞いたんです。でも結局納得できる答えが得られず、そこで会見打ち切りとなったんです。

田原:靴を投げようとしたのは・・・

上杉:ちょうどそのときです。

田原:投げなかったんですね?

上杉:投げなかったです(笑)

田原:なんで投げなかったの?

上杉:今日の靴、ちょっと脱ぎづらくて。

田原:ああそう(笑)。

上杉:それをTwitterでつぶやいたら、「今日はまだ早い、これから勉強して明日変わるかもしれないじゃないか」と。

記者クラブを怒らせた首相へのインタビュー

田原:ところで、最近、テレビに上杉さん出てないね。

上杉:だめですね。

田原:なんでですか?

上杉:理由ははっきりしています。2年前くらいから記者クラブ問題というのを言いだしたんですよ。当時は、地上波でレギュラーいくつか持っていました。

田原:記者クラブをテレビや新聞記者以外にも開放しろと言ったんですね。

上杉:ええ、オープンにしろと。別に記者クラブつぶせとは、1回も言ったことない。

田原:でもオープンにするということは、記者クラブをつぶすということですよ。

上杉:そうですか。

田原:うん、彼らは特別の権限だと思ってるんだから。

上杉:たぶん、記者クラブについて戦ったのは、田原さんが最も古いでしょう。

田原:いやいや。

上杉:宮澤(喜一)さんでしたっけ? 小渕(恵三)さんでしたっけ? 田原さんがサンプロで電話で結んじゃったの。

田原:あれ、小渕さん。正月に、小渕さんに携帯電話したら出ちゃったわけ。「今サンプロの本番中なんですが、正月だから何か国民にあいさつしませんか」と言ったら、あいさつしちゃったの。

上杉:それでだめなんですか?

田原:それでね、大騒ぎになっちゃった。テレビ朝日を記者クラブから追放するということで大騒ぎになった。

上杉:なんの理由で追放するんですか?

田原:記者クラブは、あれは開放じゃなくて、閉じるほうですから。いっぱい閉じる条件があって、例えば総理大臣に聞くのは順番があるんですね。例えばNHKがやる、日本テレビがやる、またNHK。今度TBSで、またNHKがやると。その順番はずして、突然小渕さんが電話に出てくるっていうのは、要するに記者クラブの違反であると。

上杉:え、でも、小渕さんは田原さんの番組に出る、田原さんと話をすると言ったわけですよね? 総理が。なんで総理がいいって言ってるのに。

田原:総理には文句言えないんでしょうね。だからテレビ朝日に文句を言ったんです。

上杉:本末転倒というか。

田原:だからね、記者クラブというのはある意味では、例えば各省に、あるいは官邸に、権利をとったんですね。権利をとったら今度は守ることになっちゃったんですよ。連合と一緒なんですよ。ぼくは連合という組織は、日本で一番悪い存在だと思ってる。なぜかというと、つまり正社員を守るんですよね。

 連合は、正社員を守るために、派遣労働者とか、非正社員とか(しわ寄せが)出てくるわけね。これと同じように、記者クラブも記者クラブの会員だけを守ろうとしてるの。会員以外はいかに排除するかっていうのが記者クラブでしょうね。

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