経済の死角

崩れた"一人勝ち神話" ヤマダ電機の 「真実」

創業者・山田昇会長も認めた、
家電売り上げNo.1企業の 「知られざる憂鬱」

2010年06月06日(日) FORZA STYLE
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自ら運転して休日出社した山田昇会長。本誌の直撃に雄弁に答えた〔PHOTO〕片野茂樹

 売上高2兆円を突破したヤマダ電機。その成長神話に一見翳りはない。しかし、舞台裏には「次は3兆円達成」と目標の上積みを余儀なくされる創業者の苦悩がにじんでいた・・・

「正直に申し上げて、ヤマダ電機が新宿にオープンしてから、こちらの売り上げは順調に伸びております」

 ヨドバシカメラ執行役員で、新宿西口本店の店長も務める竹下雅浩氏は明快に語った。

歌舞伎町の真ん前を「家電戦争」の舞台に変えたLABI新宿東口館〔PHOTO〕香川貴宏

 4月16日、JR新宿駅東口の直近、アジア最大の歓楽街・歌舞伎町一番街の真ん前にヤマダ電機(本社・群馬県高崎市、一宮忠男社長兼COO)が、「LABI新宿東口館」(地上9階・地下2階、売り場面積約8000㎡)をオープンした。

 1ヵ月経っての"戦況"をレポートするため、本誌は"ライバル"ヨドバシカメラにインタビューを申し入れたのだ。

 都心において、「ヤマダ電機の大規模店舗開業→既存の家電量販店と価格戦争」という図式は、消費者の間で恒例行事となった。

 LABI新宿東口館も、'67(昭和42)年以降、新宿を本拠地に展開してきたヨドバシカメラに対して突きつけた"果たし状"に他ならない。

 '09年10月に開業した東京・池袋の「LABI1 日本総本店 池袋」も、ビックカメラの牙城である池袋駅前にわざわざ出店した。おかげで、今や池袋は「日本最大の家電戦争の舞台」として名を馳せている。

ヨドバシカメラ新宿西口本店の裏で、ヤマダ電機は新店舗を建設中〔PHOTO〕香川貴宏

 数字を見る限り、ヤマダ電機の拡大戦略は当たり続けていると言えよう。いや、「ヤマダ電機の一人勝ち」と言って差し支えない。'10年3月期連結決算の売上高は前期比7.7%増の2兆161億円で、初めて2兆円を突破した。家電量販店業界で2位のエディオン(デオデオや石丸電気を展開)の、同じ3月期連結決算の売上高が約8200億円。

 ヤマダ電機は後続に倍以上の差を付けた独走状態にある。ちなみに、非上場のヨドバシカメラは比較が難しいが'09年3月期の公表実績値で7012億円、ビックカメラは'09年9月〜'10年2月期(上期)で2984億円である。

己の足を喰うタコの如く

 しかし、である。ヨドバシカメラの竹下店長が冒頭で語った発言を、単なる強がりや負け惜しみと斬って捨てることはできない。それは、ある家電量販店の販売担当者が本誌に打ち明けた、次のような実情があるからだ。

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