田原総一朗×佐々木俊尚「Ustで漁を中継する三陸の漁師に希望を見た」
対談「3・11以降の日本を考える」 Vol.3

vol.2はこちらをご覧ください。

田原: この間、現代ビジネスで何人か若い経営者と対談したんですよ。やっと今ベンチャーが出てきた。堀江貴文さんが潰されて、日本では一度ベンチャーがまったくダメになったが、今ベンチャーが増えてますよ。

佐々木: ええ、増えてます。それは事実だと思います。

田原: そのベンチャーの人に「あなたみたいな人、どれくらいいる?」って聞いたら、「100人くらいいるかな」と。

佐々木: 私はそういう業界を取材していることもあって、20代の若い人とはよく会うんです。本当に大学生くらいの人がベンチャーを始めたりとか・・・。

田原: 昔、堀江さんがヒーローの頃は、東大生の多くが、ベンチャーやるんだと言ってた。堀江になるんだ、村上になるんだと。でも二人とも潰されたんで一時はどうしようもなかった。

佐々木: あの時期ちょうど外資系金融が流行っていた時期だったんで、そっちに優秀な人がみんな行った。ただリーマンショックでそれがなくなったので、またベンチャーにちょっと戻ってきたということもありますね。それを本当はもうちょっと政治の世界に・・・。

田原: どういうこと?

佐々木: 外資系金融とか、あるいは海外に出た人とか、あるいはベンチャーとか、優秀な人はいっぱいいるんですけど、そういう人材が政治家にならないと。もちろん一部にいるんですけどね、区議レベルとか。なかなかやっぱり首長とかになっている人は少ないですね。

田原: 今日本のいちばん大変なことは政治の世界にリーダーがいない、リーダーシップを持ったのがいない。なんでいないんだろう? だってオバマでも、いろいろ出てきているじゃない。サルコジは問題があっても、やっぱりリーダーじゃないですか。

佐々木: でもリーダーを育てる土壌さえも、この公共圏であまりないってあるんじゃないですか。出てくるとメディアが一斉に潰しに掛かったり。震災直前の前原さんの献金問題とかどうでもいいような話ですよ。ああいうことをやっていればそれはリーダーは出てきませんよ。

田原: 年間5万円。在日の韓国の女性が焼き肉屋か何かやって、年間に5万円献金していた。これで外務大臣を辞めざるを得ないと言うんだよね。

佐々木: そんな下らないことをやっていてリーダーを育成できるわけがないと思いますよ。それはメディアの責任です。

田原: それにしては菅さんは救われていますね。菅さんもやっぱり在日の人から104万円。あれは朝日新聞が発表したのがちょうど震災の日なんですね。

なぜ足の引っ張り合いをするのか

佐々木: メディアの問題はすごく大きい。例えば震災の前にどんなことを報道していたかと言えば、京大入試のカンニングですよ。どうでもいい話を延々と報道していた。一面の頭で、どうやってカンニングしたとかって。

田原: カンニングして逮捕でしょ、冗談じゃないよね。

佐々木: ああいうふうに些末な問題にかかずらって、それでみんなで足を引っ張り合う構図をなくさない限り、きちんとしたリーダーは出てこないと思います。

田原: この国は何で足の引っ張り合いがこんなに凄まじいんですか。

佐々木: 背景にはひとつグローバリゼーションが進んだせいで、富が失われつつあるという要素は結構大きいかなと思います。

田原: そこのところは「そうですか」と言ってもいいんだけど、あえてお聞きしたい。何でグローバリゼーションが進むと富が失われるんですか。

佐々木: ブルーカラーのみならずホワイトカラーでさえも海外移転が始まって、結局日本の中産階級が没落するのとともに、中国、インドの中産階級が勃興してきている。

田原: つまり工場で働く労働者だけでなくて、本社機能みたいな・・・。

佐々木: インテリジェントな機能。

田原: インテリジェントな機能も海外に行っちゃってる。

佐々木: 中国やインドの人にとっては有り難いわけですね。今まで貧しい工場労働をやっていたのが、ちゃんと白いシャツを着ていい仕事が出来るようになって、どんどん中産階級になって、車も買えました、家も買えましたと。そうやって富が生まれてくる。これはゼロサムゲームですから、世界中。

 19世紀から20世紀にかけてまだ世界の富は増えていたんです、工業化によって。でも21世紀の現状、世界の富は増えなくなってしまって、そうするとゼロサムの中で世界の富をどう分け合うかということになってしまった。そうなると当然インドや中国、ブラジルの富が増えれば、日本の富は減るという・・・。

田原: だけど世界の富っていうイメージが、やっぱりiPadとかiPhoneとか、あるいはパソコンのソフトとか、こういうのはどんどん増えているんだからそっちへ行けばね・・・。

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