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「ホルモン丼」800円。ご飯のない「ホルモン煮」は600円。他に「肉どうふ」も人気

 築地場外市場。新大橋通りに面して飲食店が並ぶ一角に、『きつねや』はある。歩 道に直に面したカウンター3席だけの小さな店で、品書きは「牛丼」「肉どうふ」とい った肉メニューに、ビールやおしんこを加えてもわずか10行ほどしかない。この店の名物が、「ホルモン丼」だ。

 現在の店主・宇治毅さんは3代目。60年以上前、お祖父さんが開店した時には、市場 の仕事を終えた人向けの飲み屋だった。やがて食事メニューを置くようになったが、 その際、お祖父さんが「周りは魚料理の店が多いから、肉を扱えば人が来るし、栄養 もある」と、ホルモンに着眼したそうだ。

 当初は酒を飲みながら食べやすいようにと 串に刺した煮込みを出していたが、先代からは、鍋で煮込む現在のスタイルに。この 煮込みをご飯に載せたのが、「ホルモン丼」。

 使っている部位は牛のシロ(小腸)とフワ(肺)のみ。フワは薄く切ってもマシュ マロのような独特の食感が感じられるので、シロと同じくらいの厚みに揃える。これ に、アクセントのコンニャクを加えた3種の具は、下茹でをした後に八丁味噌ベースの 濃厚なタレと合わせ、店の中央にある大鍋でひたすら煮込む。

きつねや 夫婦二人で手際よく注文をさばいていくが、それでも昼時には行列ができる人気店 だ。この界隈で一、二を争う老舗でもある。
東京都中央区築地4-9-12 
☎ 03-3545-3902
営 7:00過ぎ~13:30前後 
日祝休、月~土も築地市場が休日の場合は休み

 宇治さん曰く「シロは出る、フワは吸う」。煮込むうちにシロから脂や旨味が溶け 出し、それを、淡泊なフワがしっかり吸い込むのだという。

 その味は、昔流行ったビールのキャッチフレーズではないが「コクがあるのにキレ がある」。濃い煮汁が絡んだ白飯をひとたび口に運べば、丼が空になるまで永久運動 状態に突入してしまうはずだ。

 巨大な鍋から立ち上る湯気と肉の香りに誘われ、道行く人が次々と足を止める。丼 を抱えては瞬く間に食べ終える人々の姿は、閉店まで途切れることがない。


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