運・不運はある。正解もありそうでない。でも首をひねりたくなることが多い。それが人事。それにしても、なんでこんなに間違えるのか---人事部の実態、有名企業の人事ルール、社長の実体験など多角度研究で考えた。
同じ社内にあっても、何をやっているのかよくわからない。でも、なんだか嫌な感じ。いろいろ社内事情に詳しそうだけど、自分に限らず、不向きな仕事をさせられている同僚も多い。人事部って本当は何にもわかってないんじゃないの?
お近付きにはなりたくないけど覗いてみたい人事部の「日常」を、様々な業種の人事担当者や人事部経験者の証言によって浮き彫りにする
「査定」「リストラ」「問題社員監視」・・・
人事部という「社内スパイ」、秘密というストレス
「人事部の重要な仕事のひとつに社内リサーチがありますが、そのリサーチにも、オフィシャルとアンオフィシャルの2種類があります」
そう話すのは、ある大手メーカーの人事マン、木下賢一氏(仮名)だ。人事畑10年以上のキャリアをもつ同氏によると、オフィシャルなリサーチとは、仕事の希望調査や職場環境などについて聞く、もろもろのアンケート調査のこと。
これに対してアンオフィシャルなリサーチは、リサーチであることさえ調査対象の社員に知られてはならない。
「たとえばどこかの部署が会社の近くで懇親会を開くと聞けば、たまたま会場の店に居合わせたようなフリをして、それとなく雰囲気を探る。また、労組から仕入れる情報もアンオフィシャルです。人事と労組は敵対関係にあると思われがちですが、我が社では労組の一部とはかなり密に情報交換しています。
だいたいネガティブな情報というのは、人事部よりも労組への訴えなどで発覚することが多い。情報の価値からいっても、オフィシャルよりアンオフィシャルで得たもののほうが、役に立つことは圧倒的に多いですね」(木下氏)
いきなり安物のスパイ小説のような話だが、人事部員にとって社員の情報を得るのは重要な仕事。その情報は社員を異動させたり、昇進させたりする際の判断材料の一つになる。問題社員に引導を渡すために、人事部が意外な人とのパイプを使って情報を得た例を紹介しよう。
飲酒現場に急行せよ
ある商社の話である。
問題になったのは、アルコール依存症の社員A氏(50代)。彼は、過去にアルコール依存症治療のために休職したことがある。
「我が社では休職期間が2年になると解雇になるのですが、彼は解雇処分になる直前に、完治したという医者の診断書を会社に提出し、しばらく出社すると、また再発したと言って休職することを繰り返していました。彼が提出する診断書は、医者に頼んで書いてもらっていることは明白でした」(この商社の元人事部員)
就業規則上、一方的に解雇することもできず扱いに苦慮していたとき、復職したA氏が会社近くのコンビニで缶ビールを飲んでいたという情報が人事部に寄せられた。依存症が完治していない証拠を掴むには、A氏が昼間から飲んでいる現場を押さえるのが確実だ。
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