社民党離脱は「選挙至上主義」
連立では「当然の帰結」

政策を犠牲にした数合わせ政権

 米軍普天間飛行場の移設問題は、結局は辺野古への移転という自民党政権時代の決定に戻ってしまった。鳩山由紀夫首相は「最低でも県外」と言っていたのだから、これはまさに公約違反である。この8ヵ月間の迷走は、論外というほかはない。日米の信頼関係にひびを入れ、沖縄県民の心を踏みにじった責任は極めて重い。

 首相は、この責任をとって辞任すべきであるし、解散総選挙で国民の信を問うたほうがよい。7月11日に予定される参議院選挙では、政権党に厳しい審判が下るであろう。

 そもそも沖縄の地政学的重要性が分かっていないし、海兵隊の抑止力について勉強したこともないというのでは、首相である前に政治家として失格である。

 韓国の哨戒艦が北朝鮮の魚雷に攻撃され沈没した事件で、朝鮮半島情勢は緊迫の度を増している。29、30両日、韓国の済州島で日中韓首脳会談が開かれ、北朝鮮への対応で三国が協力することが確認された。

 沖縄における米軍の存在は、日本のみならず、アジア全体の安定のために不可欠であり、普天間問題は、アジア太平洋地域の国々の関心事項なのである。

 鳩山首相は、辺野古への移設に反対した社民党の福島みずほ少子化担当大臣を罷免し、社民党は連立政権から離脱した。そもそも社民党との連立には無理があったと言ったほうがよかろう。

 かつて、自民党は、細川内閣の成立で下野した後、社会党とさきがけを誘って、自社さの連立政権を作り、政権に復帰した。これには皆がびっくり仰天したが、それは戦後一貫して対立してきた自民党と社会党が手を握ったからだ。政権奪回のためには、主義主張はどうであれ、数あわせを優先させたわけである。

 しかしながら、首相の座についた村山富市社会党党首は、それまでの党是を変更して、日米安保や自衛隊を認めることにした。これは当然の決定である。ただ、この政策変更が響いて、社会党のアインデンティティが失われ、以後、党勢は衰えていく。

 この歴史的経験を踏まえて、今回の社民党騒動をどう評価すればよいのであろうか。

 そして、それは連立政権の経験が豊富なヨーロッパ諸国との比較に耐えうるものなのであろうか。別の表現を使えば、連立の作法にかなったものなのであろうか。

 まず、基本的なことから入っていこう。連立とは、過半数を形成するための「数合わせ」であることは間違いない。ときには、ただ過半数の形成に必要な政党数を超えることもある。

 それは、政権の安定のための工夫である。また、逆に過半数に達しない連立政権であっても、争点ごとに連立外の政党の支援を獲得して政権を維持する手法もある。

 これらのケースでは、政策が重要な要素である。政策が似たり寄ったりの政党が数多くあれば、前者のような過大な連立も可能である。逆に、政党間で政策の共通性が乏しいときは、後者のような過少な連立という選択肢となる。

小沢一郎がもたらした弊害

 現在の、民主党、国民新党、社民党の連立政権は、参議院の状況を考えると、まさに数合わせ以外のなにものでもない。そこでは、政策が犠牲になっている。

 国民新党は、郵政民営化路線に反対する単一争点政党である。この政策に反対する民主党の政治家はいるはずである。また、社民党は日米安保や自衛隊、憲法改正や原発に反対する原理的な左翼政党である。だから、普天間移設問題では辺野古に反対である。これまた、民主党の政治家の多くとは異なる。

 そもそも、このようなことは分かっていた。民主党は社民党を連立のパートナーとして選択すべきではなかったのである。

 社民党は、子供手当のばらまきや派遣労働の規制強化には賛成であり、閣外にいても、これらの争点にのみ賛成すればよい。また、民主党も、その程度の付き合いにとどめるべきであった。国民新党についても、同様である。したがって、鳩山内閣は連立の作法をわきまえない連立政権だと言わざるをえない。

 この異常な連立政権は、選挙における協力から生まれたものであり、小沢一郎流の選挙至上主義がもたらした弊害である。政策があとからついてくるようでは、民主主義は成熟しない。

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