「オープンな世界」と「日本的根回し」をつなぐTwitter
メディアジャーナリスト津田大介インタビュー 最終回

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田原 今、Twitter一番フォロワーが多いのは堀江(貴文)さんですかね?

津田 鳩山(由起夫首相)さんでしょう。次が、たぶん堀江さんとか勝間さん(勝間和代氏)じゃないですかね。

田原 ホリエモンてのは面白い男だね。津田さんは、ずいぶん堀江さんとあってますか?

津田 僕は番組などでご一緒させていただくぐらいですね。でも、僕の一学年上ですし、インターネットを最初から触っていたという点ですごくシンパシーはありますね。

田原 特に、逮捕されてから良くなったね。

津田 やっぱり、復活されてからメディアに対してちゃんと発言するようになったじゃないですか。その前って、面倒くさがってそういうことしたなかった。それをいまは、すごく意識的にやっていて、ネットとかメディアを使うことによって世論と対峙しようとしていると思います。

 世論を変えて、判決も変えたいという強い意志を感じる。それはすごくいいなと思いますね。

田原 僕は、あんなに鋭い、あんなに人間的な男だと思わなかった、逮捕されるまでは。

津田 無邪気ですよね。

田原 ホリエモンは、「監獄の飯は臭い飯」という。「まずいんじゃないの?」と聞いたら、うまいんだと、拘置所の飯は。

津田 へぇ~、そうなんですか!

田原 佐藤優さんもそう言ってた。なぜかというと、「例えばレストラン行ってもだいたいご飯って『チン!』だ」って言うんだよね。前に炊いたやつをそこで電子レンジで温めるだけ。でも、拘置所は本当に炊きたてだそうです。

 しかも、いっぱい炊くからうまいんだって(笑)。ホリエモンや佐藤優さんが「うまいんですよ~」って自慢するもんだから、一回入ってみたほうがいいんじゃないかと。

津田 ははは(笑)。それに、堀江さんは、上手ですよね。Twitterもやるし、ブログもやるし、有料メルマガもやる。メディアの特性を分かったうえで使い分けてます。あの人はメディアを作るのが好きなんですね。

田原 津田さんは今、Twitterをやってますが、これからどうしようと思ってるんですか?

津田 そうなんですよね。楽しいなとは思いつつもいろんな問題も起きてくる。たとえば公職選挙法がどうなるのかというのも含めて。

田原 Twitterはダメになっちゃったんじゃないの?

津田 まだどうなるか分からないです。今回、議論されたのは政治家本人がやる場合だけです。一番重要なのは、何か書いたら反応があるというように、Twitterを見ることによって、誰に投票しようかと考えるということじゃないですか。それを選挙の公示期間の2週間の間に考えることが大切なんです。

 去年の衆議院の時だって、みんなTwitterではそういう話はしていた。「2ちゃんねる。」やブログでも皆書いていました。すでにやっている。

田原 本人が書くこと以上に、みんなが政治家や選挙について書くことが面白いんですよね。しかも、そそれをよんで考える。

津田 かつてはそういう政治の話は日本ではあまり議論されなかった。対して、今は積極的に話ができる環境ができている。もちろんTwitterもいろんな誤解も出やすく、なりすましの問題とか誹謗中傷の問題とかあります。ただ、リアルだったらないのかって考えたら怪文書ってありますもんね。

 怪文書は送られたら「やられ損」ですけど、ネットだったらTwitterでデマが流されたとしたら、誰が流したのかというのをトレースすることができます。そこに対するプロバイダ責任法とかその人を突き止めることでカバーできるんですよね。

田原 それでね、僕がTwitter始めたきっかけはね、田原総一朗のなりすましがいたんだ。

津田 あ~、そうでしたね。

田原 なりすましがいるなら本人がやろうと。だから「ナマ田原」になったのね(笑)

津田 なりすましの問題はそんなにたいしたことないですよ。別に、今までなりすましってどうやって対応していたのかというと、Twitterの本社が議員などに電話をかけて「本人ですか?」って聞いて確認していた。

 そんなことが重要であれば、日本の代理店のデジタルガレージがありますから、そういうところが選挙前に予算をかけて全部確認をすればいいだけの話です。

鳩山首相がブレるのはなぜか

田原 これからどんどんTwitterは広がっていくと思うけど、どういうことが起きますかね?

津田 僕がTwitterに期待しているのは、ショートメッセージでやりとりをするのが全部オープンだというところなんですね。

田原 あ、そうか! 電話はオープンじゃないもんね。

津田 だから誰かに話しかけたときに、話しかけたことすらもオープンになっている。オープンに話しかけられたほうが、返事しなきゃいけない気分になるじゃないですか。

田原 そりゃ、そうだ。

津田 だから、その対応自体も見られている。僕はオープンでつながりやすいのがインターネットの良さだと思っています。しかし反面、日本ってどうしても根回しの社会です。政治だってそうだし、行政の政策を決めるのも根回し。

 だから、ある程度2000万人くらいまでTwitterも行くと思うんです。そこから先、そういうオープン型のコミュニケーションが日本人になじむのかどうかというところですね。

田原 そこなんです。実は、普天間問題で、鳩山さんは5月に決着すると言っていたし、その前は3月と言っていたけど、失敗した。なんでうまくいかないのかを官邸のスタッフに聞いたら「あの人は根回しが下手だ」と。

 つまり、根回ししてから発表するのが根回し。先に発表しちゃう。先に発表したんじゃ根回しなんかできないじゃないかと。だから、「先に発表して根回しして変わるとブレる」そうです。

津田 僕は根回しを否定しているわけじゃありません。根回しだけではなく、オープンな世界と根回しの世界が共存できるような環境になるといいかなと思ってるんです。

田原 ふたつの世界のね。

津田 グラデーションというか、Twitterはそのつなぎ目になってますよ。Twitterは、テレビや出版とケンカするものではないと僕は思っている。今までフォローできなかったものを埋めてくれるものなんです。根回しとマニフェストの隙間を埋めるのにもTwitterは使えますよ。

 去年の衆院選が終わったときに、記者クラブの解放問題があったじゃないですか。あの時に、マニフェストで記者会見を解放すると言っていたのが、それが出来なかった。民主党がTwitter上でものすごく叩かれたんですよ。

 それを藤末健三参議院議員が見て、これはまずいと、Twitterでこんなに批判が来ているというのを印刷して党の上層部に持っていったんです。

 それで部分的な解放が始まった。インターネットってあまり政策的な話に今まで絡んでこなかったけれど、個別の問題で実際に議員を動かしてそれが上層部を説得して動くという事例が出た。これこそ、Twitterの面白さでしょう。

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