「実質GDP4.9%増」でもデフレ脱却が 遠いのはなぜか日経平均株価は1万円割れ

2010年05月24日(月) 高橋 洋一
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 5月21日は日銀金融政策決定会合があった。景気の現状判断を上方修正して、金融政策は現状維持とした。成長分野への新貸出制度というが、中央政府が産業政策をするというコンセプトで、日本の高度成長のときに主張された古めかしい考えだ。

 しかも、その後の研究によれば、政府の産業政策は日本の高度成長には寄与せず、産業政策という名の下で特殊法人等天下り先が潤っただけだったのである。

 21日は政府・日銀が政策転換するのは格好の日だと思っていただけに、政府・日銀の無策は残念だ。では何をすべきだったのか。

 基本は日銀による量的緩和だ。日銀は効果がないと言っているが、データは違っている。リーマンショックのような世界に同じショックがあると、あたかも社会実験のような環境ができ、各国の政策対応の差が経済パフォーマンスの差になるので、政策効果が計測できる。

 1月11日のこのコラム(「私が菅副総理・財務相に期待する理由」)で、リーマンショック以降、各国の中央銀行がバランスシートを拡大させる中で、日本は拡大しなかったと書いた。その結果、日本の物価の戻りは各国より遅い(下図)。この事実から、各国の量的緩和の効果が数量的に計測できる。

 技術上の話を省くが、結果は、日銀は10兆円拡大で0.15%、米国のFRBは1000億ドル拡大で0.09%、英国のイングランド銀行は1000億ポンド拡大で0.5%、それぞれ物価(予想)を押し上げられる。だから、日銀が40兆円程度の量的緩和をすれば、デフレ脱却や円高是正できるだろう。

日経平均1万円割れは防げた

 もし、もっとイベント的に政策転換を演出するなら、政府と日銀の共同オペレーションだ。政府は為替市場でユーロ介入を行う。その財源調達は政府短期証券(為券)を発行するが、同時に、日銀が市中から政府短期証券の購入を行う。このオペレーションは実は日銀の量的緩和に介入を組合わせたものである。

 量的緩和の経済効果に為替介入のアナウンスメント効果を加えたものといってよい。もちろん、この政府と日銀の共同オペレーションも円高対策とデフレ対策の一石二鳥になる。

 これは奇策でもなんでもない。小泉政権の2004年に行われ景気を下支えた30兆円規模のドル買いのユーロ版だ。21日、この政府と日銀の共同オペレーションを40兆円規模で発表していたら、デフレ脱却とともに、円高是正となって日経の1万円割れはなかっただろう。

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