「政権交代」ということで、民主党にはおおいに期待をもっていた。しかし政権発足後100日がすぎてみると、甘い期待であったと言わざるを得ない。
私は、小泉政権と安倍政権のもとで、郵政民営化、政策金融改革、政府資産改革、公務員改革などいろいろな政策に関わってきた。ほかにも道路公団民営化、年金改革や地方分権にも多少は関係した。だからこそ民主党は郵政民営化、政策金融改革、政府資産改革に反対または消極であることはわかっていた。しかし、公務員改革にこれほど不熱心であるとは予想外だった。
鳩山政権の唱える「脱官僚依存」とは、「脱・官僚依存」ではなく「脱官僚・依存」のように思える。「脱官僚」とは政権にいる松井孝治官房副長官(経済産業省OB)と古川元久副大臣(財務省OB)のことだ。この両人とも霞が関との関係は良好であり、官僚がそのまま国会議員になっているようなものだ。両人とも実務能力は高いが、官僚気質が残るためか、公務員改革にそれほど熱意があるとはいえない。また、民主党自体が自治労を支持母体としているため、彼らの不利益になる公務員改革については改革意欲を欠く。このため、公務員改革法は、昨年の国会には提出されなかった。いつになったら出てくるのか。今年の通常国会には出すとすれば、その中身はどうなのか。鳩山政権は天下り根絶といいながら、郵政人事は典型的な天下りだった。
また、「脱・官僚依存」のためには、政府内に国会議員を大量に送り込む必要がある。そのためには、真っ先に国会法などの改正をしなければいけなかった。しかし、これらも昨年の国会には提出されなかった。さすがに、今年の通常国会には提出されるだろうが、その内容によって民主党の「脱・官僚依存」の熱意がわかるだろう。
もっとも、最近の国民の関心はというと改革よりも、もっぱら景気対策である。二番底とかデフレとか言われて、明日の生活はどうなるのかと心配している人が多い。ちなみに、元旦の政治テレビ番組に出ていたら、鳩山政権の課題は外交でもなく、献金の問題でもなく、景気対策だと心配する国民の声が一番多かった。
2008年9月のリーマンショックに端を発した金融危機で、先進国では大きな成長の落ち込みがあった。当時は100年に一度の危機といわれたが、各国とも賢明な経済対策(財政政策と金融政策)によって、その危機に対処した。日本を除く先進国は、成長の落ち込みによるGDPギャップを、財政政策と金融政策で埋めたのだ。ところが、日本では埋まっていないので、二番底なんていう不安がでてくる。私の計算結果は以下の通りである。

GDPギャップとは、雇用が完全雇用である場合のGDP(潜在GDP)を推計し、それと現実GDPとの差額をいう。IMF(国際通貨基金)やOECD経済協力開発機構)などの国際機関で各国のマクロ経済状況を見るときに用いる数字で、もちろん日本でも内閣府や日本銀行などがマクロ経済政策を検討する時に参考にしている。このGDPギャップが大きければ、失業率が高くなり、賃金が下落、物価も下がる。逆に、現実GDPが潜在GDPを上回る場合には、雇用が逼迫し、賃金が上昇、物価も高くなる。例えば、日本のように、GDPギャップが40兆円程度あると、失業率を2~3%程度、失業者を130~200万人程度増やしている。特に、労働者を正規雇用と非正規雇用に分けて考えると、非正規雇用のほうが大きな打撃を受ける。また新規雇用者も採用ストップになるなど、労働者の世代間格差を大きくする。実際、いまの日本では、アルバイトの採用停止や就業時間制限、高校・大学新卒者の就職内定率の低下などという形で、一部の地域では雇用格差が顕在化しつつある。
雇用問題、格差問題を重視しているはずの民主党が景気対策に力を入れていない(少なくとも数字からみれば後述するとおり)のは不思議だ。
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