上田眞理人FXプライム専務「ユーロ、金、新興国、今年後半はどうなる?」
混迷時代の為替市場を聞く VOL.4

インタビュアー:磯山友幸氏(経済ジャーナリスト)

vol.3 はこちらをご覧ください。

磯山: これからヨーロッパでは何が起きるのでしょうか。ギリシャはじめ国家財政はどんどん破綻していくのでしょうが、それだからといってユーロ通貨が破綻するわけではありませんね。

上田: ええ。

ブリュッセルのEU〔PHOTO〕gettyimages

磯山: ドイツがユーロから抜けるかといったら、それはあり得ない。では破綻した国がユーロから抜けて、国民が強い通貨から弱い通貨に両替するかといったら絶対にあり得ないですね。

上田: 私もあり得ないと思います。

磯山: 一回通貨統合をしてしまうと、それを壊すのは簡単にはできないと思います。

上田: 本当にドイツが抜けたら・・・、可能性はないと思いますが、唯一あるとすればそれしかないと思います。しかし、やはり非常に考えにくいですね。

磯山: 僕がドイツにいた経験で言うと、ユーロ通貨やEU統合でいちばんメリットを受けているのはドイツです。それを国民があまり因果関係として見ていないだけで、実際には景気もいい。ドイツのものはEU内で売れているわけです。

 恩恵を受けているのはドイツなので、ギリシャくらいは助けないと本当はいけない(笑)。

上田: 逆に言えば、ギリシャ、ポルトガルなら許せるのでしょうけど、これがスペインにまで及ぶとちょっとまずいでしょうね。ユーロの暴落も起こりうると思います。

磯山: スペイン、イタリアにまでいっちゃったら・・・。

上田: 大変なことになる。

 もう一つは、やはり利上げですね。確かに数字を見ればインフレ懸念というのも分かるのですが、08年のリーマンショックの時も、その数ヵ月前に利上げしていて、結局失敗しているわけです。確かに中央銀行の根っこには伝統的なインフレファイターというのがある。でも、昔のようにハイパーインフレになる可能性は本当にあるのかというと、どうなんでしょうか。

 つまり利上げが遅れたからといってインフレが一挙に昂進するような、そういう状況なのかというところが私はよく分からない。私は全然知識持ってないですが、どうして利上げをしたのか。しかも、何故今後も継続するようなニュアンスなのか。ちょっと分からないですね。

磯山: 日本で見ているよりも現実にはヨーロッパは景気がいいということだと思います。不動産バブルみたいなものも再燃しているし・・・。

上田: おそらく域内で経済が完結するからでしょうね、

磯山: EU統合で経済も大きくなりましたから。日本から見ると、もうユーロ圏は終わったみたいな見方をしていましたが、気がつくと対円では急激にユーロが強くなっています。

上田: ユーロ自体が一つの国のようになりましたからね。中は都道府県みたいなもので、その中でユーロは流通しているわけです。そういう意味では、あまり貨幣価値を気にしていないのでしょうね。

磯山: その言い方でいえば、ポルトガルが破綻するというのは夕張市が破綻するのと一緒ということですね。財政は別になっているので・・・。

上田: スペインになると、大阪府とまではいかなくても、そのへんが危ないのはちょっとまずいということだと思います。

通貨が強すぎるブラジル

磯山: 前回、新興国の通貨が基軸になることはないというお話でしたが、ブラジルのレアルなどは猛烈に上がっています。

 1月にブラジルに行って来ましたが、どう考えても通貨が強すぎると思いました。新興国におカネが流れ込んでいる流れも当分止まらないのでしょうか。

上田: 過剰流動性が続くかどうかというところがポイントでしょう。

 コモディティでいう需給、通貨でいうファンダメンタルズを考えると、オイルが需給によって値段が上がっているのではないように、ファンダメンタルズやそんなもので通貨の価値も決定するわけではないと思います。

 まさしく、マネーが余っているからどこかにぶっ込んでやれという思惑が左右する部分がある・・・。そうすると金利が高いところ、しかし、取り敢えず少しは落ち着いているところという発想でしかないと思います。

 失礼かも知れないけど、投信を組んでいる人たちも別にきちんと考えているわけではなく、これでも買っておくか、という世界ではないでしょうか。おカネが余っている状況を前提にすると、乱暴な言い方ですが、別に何でもいいわけです。

 ここに、ものすごく魅力的だけどちょっと危ないなというのと、結構いいなというのがあるとすると、一般的には、その結構いいなというほうに行きがちですが、今はそういう状況ではないでしょうか。

磯山: 上田さん個人のポジションは、どの通貨にどれくらいウェイトを掛けているのですか。

上田: 私は、個人的に外国為替取引ができません。つまりヘッジができないので、ほとんど円ですね。

磯山: 株は持っていないのですか。

上田: 株は会社の株式だけです。株はもともと好きではないので(笑)。後は投信がちょっとあるくらいです。

磯山: やはり為替はやらないということになっているのですね。

上田: FXを取り扱っている会社の人間はFX取引を禁止されているのです。ということは、外貨資産を持ってもヘッジできない。

磯山: ダメですか。

上田: そうです。外貨預金はいいですよ。ただ、私はずっと円高の時代でしたから、もしやったとしても、ほとんど妙味はなかったですから。

磯山: 今、個人が外貨資産を持つならどのくらいのウェイトがいいでしょうか。

上田: やっぱり10%が限界でしょうね。今、日本の全個人資産の2%、3%と言われていますけど、いきなり10%はきついと思いますよ。よく三分法と言いますが、これは大きな間違いであって日本人ですから、やはり基本的には円で持つべきだと思います。であれば、外貨資産は、10%程度が程よい加減ではと思います。その中を三分するのは構わないと思いますけど。

磯山: ごく一部のお金持ちは、日本で生活しなくてもいいのでドルで持っているほうがいいという人もいるようですが、普通の人は生活しているところが日本ですからね。

上田: 今回のことでもわかりますように、何があるかわからない中、3分の1は危険だと思います。

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