北京で開催された「世界自動車産業フォーラム」で見えた中国市場「2つの顔」
世界自動車産業フォーラムの様子

 中国・北京で5月20日、「世界自動車産業フォーラム」が開催された。名古屋市に本社がある自動車産業調査会社「フォーイン」の子会社「北京フォーイン」と、自動車産業の関係者や学者、アナリストらで構成される日本自動車問題研究会(通称:自問研)の主催。現地の業界団体である中国汽車(自動車)工業協会なども後援した。フォーインは31年前に設立された世界の自動車産業の動向を調査する企業で、「世界自動車統計年鑑」を中国汽車工業協会と共同制作したことを機にこのフォーラムを開いた。

 フォーラムの主な内容は、「中国自動車市場及び産業」「アジアなど新興国自動車産業の世界的な拡大とインパクト」「世界と中国の電気自動車やハイブリッド車産業」。参加者は日中の自動車産業に関わる関係者ら約300人で、中国汽車工業協会の事務方トップである薫揚・副会長兼秘書長も参加した。

 このイベントは日中の政府は直接関与しておらず、いわば「草の根交流」だが、中国の自動車市場が内包する課題なども問題提起され、率直でかつ積極的な意見交換が行われた。フォーインは今年秋をめどに、中国の自動車産業に関する勉強会を設立し、「草の根交流」をさらに強化し、中国の自動車産業の発展にも貢献したい考えだ。

 中国市場は2009年、2010年と米国を追い抜き、2年連続で世界一の市場となった。日本の自動車メーカーを見ても、日産自動車が中国での販売が国内を上回るなど中国事業が決算業績を支えている。今後、中国での生産販売は増え、これに伴い、部品産業の中国展開が強化されるだろう。また、中国側も独自の技術力やブランド力向上を目指し、輸出の増強策に力が入り、いずれ日本車のライバルとなる。日中の自動車産業は戦略的な互恵関係を構築していく時代に突入している。

 筆者もこのフォーラムに参加したが、そこから見えてきたことは、一見、成長著しい中国自動車市場には「2つの顔」があるということであった。一言でいうならば、様々な矛盾を抱えながらの成長である。だから、この「2つの顔」を理解しなければ、中国市場の攻略や互恵的な関係の構築はできない、と感じた。

内陸部と沿海部で8倍もの差

 中国の10年の新車販売は前年比3割近く伸びて約1830万台を記録。08年が約902万台だったので、2年間で市場は2倍に拡大した。この2、3年は伸び率が鈍化するものの、2015年に3000万台程度にまで伸びるとの見方が支配的だ。こうした点については日本の多くのメディアでも報じられているが、興味深かったのは、中国の調査会社が示した他国の過去のケースと比較した今後の伸び率についてだ。

 自動車販売の成長について、1000人当たりの保有台数が5台をめどに第一次成長期、100台をめどに第二次成長期と位置付けられる。中国はいま58台であり、第一次と第二次の成長期の中間にある。ちなみに日本は約700台であり、成熟期にある。

 日本の第二次成長期は1965年-1973年の8年間で、その間の年間平均伸び率は約22%。韓国の場合は86年-97年の11年間で約20%。中国は09年-23年が第二次成長期で、14年間の年間平均伸び率は13%-15%と見られている。

 中国の場合、一気に市場が拡大していくように感じるが、意外にも日本や韓国に比べて第二次成長期の滞在期間が長く、伸び率も低い見通しになっている。細く長く成長期が続くわけだが、ここに中国の課題が隠れている。この理由は、沿海部と内陸部で経済発展の格差が大きいため、平均すると車の普及するスピードが遅いということである。