雑誌
名門セイコー ホールディングス
殿と女帝が取締役会クーデターで
「電撃解任」されるまで

 時計といえばセイコーその世界のセイコーでこんなお粗末な経営が行われていたとは。殿と女帝が人事を壟断し、社長はお飾りでは、会社が赤字になるのは当たり前。解任は遅すぎたといえよう。

創業家の当主なのに

 大型連休の真っ最中、セイコーグループの「当主」は東京・広尾の有栖川宮記念公園脇にある超高級マンションの一室に、閉じ籠もっていた。

東京・銀座の一等地にある和光本館

「主人は(家に)いますが、『(インターホンに)出たくない』と言っております。11日の役員会でどうするか? (解任は)もう決まったことですから、決まった通りにするだけです」

 セイコーホールディングス名誉会長・服部禮次郎(れいじろう)氏(89歳)の妻・悦子氏は、きっぱりとした口調でこう答えた―。

 業績低迷にあえぐセイコーホールディングス(本社・東京都中央区銀座、グループ社員数7291人、年商1740億)の取締役会で、4月30日、クーデター劇が起こった。

 セイコーホールディングスはセイコーウオッチ、セイコークロック、和光などを傘下に抱える持ち株会社である。この日、ホールディングスの6人の役員のうち、社長の村野晃一氏(72歳)を除く5人による多数決で、村野氏の解任が決定した。

 同時に服部禮次郎名誉会長が和光の会長・社長を解任され、同じく和光の鵜浦(うのうら)典子専務(53歳)も解任。鵜浦氏はセイコーHDの役員でもあるが、それも6月の総会で退任するという。

 村野社長は禮次郎名誉会長に「無条件に服従している」とされ、いわば、「禮次郎派」が一掃された形となった。

 クーデター側に加わり、新社長となった服部真二氏(57歳)は禮禮次郎氏の甥(兄の次男)で、実子のいない禮次郎氏の養子にもなっており、「禮次郎派」の一員と見られていたが、土壇場で寝返った形だ。

「いつかはこういうことになるんじゃないかと思っていました。以前から社内では、『もうそんなに長くは続かない。社長(禮次郎氏)が亡くなるときが、破綻のときかな』という声が出ていました」(和光元社員)

 銀座のど真ん中、中央通りと晴海通りの交差点という日本最高の位置に店を構え、屋上の時計台が銀座のシンボルともなっていた高級宝飾店・和光は、業績が悪化の一途をたどり存続さえ危ぶまれていた。経済誌『ダイヤモンド』が入手した経営資料によると、'09年3月期は15億円の営業損失、今期も巨額の赤字が確実という。

 一等地に保有する不動産など、112億円の資産を保有するが、負債は123億円にのぼり、11億円の債務超過である。

 '08年には親会社のセイコーHDから20億5000万円の増資を受け入れているが、それも「焼け石に水」だった。

「不景気で高級時計や宝飾品などの売れ行きがガタ落ちになり、さらにリーマンショックが追い討ちをかけているのに、銀座の並木通りに新店舗を出したり、本館の隣に別館を作ったり、本館の耐震補強工事に数十億を投じるなど、強気の経営を続けた。

 富裕層を対象としたこれまでの業態を見直すこともなく、店舗は相変わらず日曜祝日は休みで夕方は6時閉店。時代に合った経営とは言いがたい」
(メインバンクのみずほ銀行幹部)

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