小選挙区制を廃止し、
「連立の作法」を確立せよ

二大政党神話は崩壊した

 新党の中でも、最後に登場したわが「新党改革」は、政党としての組織作りなどに今は多忙を極めている。有権者の納得する候補を揃えて、国民の期待に応えたいと思う。

 ところで、小党の乱立は民主党を利するのではないかという指摘がある。その指摘は正しくない。もし、民主党と自民党しか選択肢がなければ、多様な価値観を持つ国民は、投票所に足を運ばないということになりかねない。今でもまだ、自民党よりも民主党の支持率が高いので、投票率が低くなれば、民主党に有利になる。

 ところが、多様な新党の候補が立候補すれば、個々の有権者にとっては選択肢が広まるので、投票所に行くことになる。そうなれば、投票率が高まり、民主党はむしろ不利になる。

 一人区でも、民主党や自民党以外の候補が勝つ可能性はある。

 その意味で、今回の参議院選挙は、「第三極選挙」と特色づけてもよいような前代未聞の選挙となろう。

 複数の政党間の選挙協力は当然考えられることであるし、それが選挙後の合従連衡につながる可能性も否定できない。しかし、選挙後の連立の枠組みは、選挙中の協力関係とは別次元の話でもありうる。

 イギリスで、保守党と第三極の自由民主党との連立政権を形成したので、日本の政治と比較する格好の対象が出てきた。あの小選挙区制度で二大政党間の政権交代というモデル(もっとも、これは世界ではむしろ例外的なケースなのであるが)、本家本元が大きな変革の波に洗われている現状を直視すべきである。

 政権交代のダイナミズムという利点よりも、民意を正確に反映しない議席配分の弊害にこそ注目すべきなのである。

 前回に述べたように、小選挙区制を廃止し、得票率と議席数があまり乖離しないような制度に変えるべきである。中選挙区制、フランスのような二回投票制、ドイツのような小選挙区・比例代表併用性などが具体的に考えられよう。

 そして、多様な民意を政治に反映させるためには、連立政権が望ましいということも強調しておきたい。自民党の長期政権を終わらせた細川内閣以来、日本でも連立政権が常態となっている。今の民主党・国民新党・社民党の組み合わせも、これまでの自民党・公明党の連立、さらには、自民党・社会党・さきがけ政権も、すべてそうである。

 ヨーロッパ大陸では、第二次大戦後だけをとってみても、連立政権の豊富な経験が蓄積されている。多くの試行錯誤を経て、連立の作法というものが確立しているし、政治学者による研究も盛んである。オランダなどでは、選挙後、連立政権作りが難航して半年も政府が誕生しない事態すら経験している。

 しかし、それがすぐに社会の不安定や経済の停滞につながるわけではない。連立政権の国のほうが単独政権の国よりも社会や経済が劣っているという証拠はどこにもない。

連立政権こそ安定した政権だ

 小選挙区制のメカニズムによって二大政党間で政権交代があったほうが良い国になるという神話は、鳩山政権によって見事に打ち砕かれた。多数の政党が切磋琢磨して政策を競い合い、選挙の後に、政策協議をして政策の最大公約数、あるいは最小公倍数を決めて、連立政権を構成するのは好ましいことである。

 各政党が自己主張を抑制し、協力して推進できる政策をまとめれば、それは多様な有権者の意見を反映したものとなり、安定した政権になりうる。

 ところが、今の鳩山内閣は、連立政権本来の利点がなく、単なる数あわせでマイナスの多い連立政権と言わなければならない。国民新党は、その党是である郵政民営化路線の変更に固執し、社民党は反日米安保、反自衛隊のスタンスを崩そうとはしない。これが、普天間にしろ、経済政策にしろ、大きな失敗をもたらしている要因なのである。

 その点では、自民党、さきがけと連立して村山内閣を形成した当時の社会党の対応のほうが、まだ連立の作法にかなっていたようである。

 日本の政党政治、民主主義の発展のためには、新党を含め、各党とも唯我独尊という姿勢ではなく、自己抑制と自己変革の勇気を持って、連立の作法を学ぶことが肝要である

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら