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実はこんなに高い あなたの町の「本当」の放射線量
公式発表は「低く出る」よう細工をしていた
週刊現代 プロフィール
〔PHOTO〕gettyimages

  公表されていた東京・新宿の放射線量データは、地上18mの高さで計測されたものだった。地面から離れれば離れるほど、数値は低く出る。実際に人間が行動している、地表1m地点の数値は---。

2倍から5倍の数値が

 東京・永田町の首相官邸のすぐ近くに、「溜池交差点」がある。この東京のど真ん中で、購入したばかりのガイガーカウンターを用い、放射線量を計測した人物がいる。国土交通省政務官の小泉俊明代議士だ。

 真新しいガイガーカウンターが示した数値は、「0・128μSv/h(マイクロシーベルト毎時)」。この結果を見て、小泉氏は目を疑った。

「私の事務所には、小さなお子さんを持つ親御さんから放射線量を心配する声が多く寄せられていました。ならばと、いつ、どこでも調査できるよう、ガイガーカウンターを買ったのです。

 地元に帰る直前の5月2日、試しに溜池交差点付近で測ったのですが、この『0・128』という数値を年間の被曝量に換算すると、1・12mSv(ミリシーベルト)となります。これは、国際放射線防護委員会の定める一般公衆の年間被曝許容限度(1mSv)を超えるものです。

 ちなみに、首都高速の『霞が関』入り口付近でも測ったのですが、やはり0・11と高かった。福島第一原発から220km以上離れた東京で、これほど高い数値が出るとは予想していませんでした」

 後日、驚きの事実が判明する。溜池交差点で計測した「0・128」という数値が、実は文部科学省の公表している「都道府県別環境放射能水準調査結果」(以下、「調査結果」)の東京都の数値の、2倍近くも高かったのだ。

 文科省は福島第一原発の事故以降、各都道府県から寄せられた数値を集計した「調査結果」をホームページで公表している。1時間ごとに数値がアップされているので、それらをパソコンでチェックすることが可能だ。

 そこで、5月2日の「調査結果」をチェックしてみると、東京(新宿区)の数値は0・067~0・068。小泉氏の計測結果と比較すると、2分の1程度にしか過ぎない。

 乳児や幼児は大人と比べて放射能の感度が高く、がんの発症率も高まる危険性が指摘されているが、「毎日この程度で推移しているなら、今日も大丈夫だろう」と安心して子どもや孫と公園などへ出かける人もいるのではないか。しかし、2倍近くも高い「本当」の放射線量を知ったら、マスクをしたり雨の日にはレインコートを着用したりと、外部被曝や体内被曝を防ごうと心がける親は多くなるだろう。中には、「無用な外出は控えよう」と考える人がいても、決して不思議ではない。

 それにしても、同じ東京都内で測った数値なのに、なぜ文科省の「調査結果」と小泉氏によるデータとでは、こうも大きな差が生じるのか。

 両者の測り方には、大きな違いがある。文科省の「調査結果」は、地表から数mから十数mのところで測ったものなのだ。

 たとえば、東京都の場合、新宿区百人町にある「東京都健康安全研究センター」の屋上に設置されたモニタリングポストによって計測している。地表からの距離はおよそ18m。千葉県は市原市岩崎西にある「千葉県環境研究センター」の地上7mの地点にモニタリングポストを設置している。

「測定基準について、文科省から全国一律の指示が出ていないので、各自治体でバラバラの基準で観測しているのが実態です」(千葉県環境生活部大気保全課)

 一方、小泉氏は地表から100cmのところで測っている。

「多くの方たちが普段、おもに生活しているのは、地上18mよりも低いところです。ですから、そんな高いところで計測するのはどうかと思い、100cmと決めて測ったのです」(小泉氏)

 同氏はその後、同じ方法で、茨城県南部の9市町村の放射線量を測ってみた。結果は、取手市=0・484、守谷市=0・503、龍ケ崎市=0・326、牛久市=0・315だった。文科省の「調査結果」によれば、地上3・45mのところで測られている茨城県(水戸市)の放射線量(5月2日)は0・104~0・110だから、同じ茨城県内でも文科省の「調査結果」の3~5倍の高い数値が出たということになる。

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