企業・経営

「年俸1億円以上」の会社役員がついに500人突破した背景

日本でも高額報酬が当たり前の時代に
磯山 友幸 プロフィール

好業績なら年俸1億円は当たり前

そうした取締役報酬の「相場」が高騰するにつれ、業績好調企業のトップなら1億円は当たり前といったムードが広がって来た。

三菱電機は執行役22人全員が1億円以上の報酬を得た。杉山武史・執行役社長以下の基本報酬は4200万円から3700万円だが、これに業績連動報酬として9900万円から8100万円が上乗せされている。

また、日立製作所も役員18人が1億円以上の報酬を得た。前年は7人だったので、大幅に増加したことになる。

また、ファナックと東京エレクトロンがそれぞれ10人、ソニー、大和ハウス工業、三菱UFJフィナンシャル・グループがそれぞれ9人、大和証券グループ本社、三井物産、LIXILグループ、日本精工がそれぞれ8人の「1億円役員」をだしている。

社長だけでなく、取締役や執行役といった役員になれば1億円以上の年俸を得られる会社が急速に増加しているわけだ。

業績を上げ、株価を上げていれば、堂々と高額報酬を得ても何ら恥じることはない、そうした感覚が着実に日本の企業経営者の間に根付きつつある。

 

さらに高報酬化は進む

取締役役員報酬1億円以上の開示は、内閣府令によって2010年3月期決算から有価証券報告書に開示することが義務付けられた。リーマンショック後に欧米で金融機関経営者の高額報酬が批判された流れから、国際的に報酬開示が進んだ。

日本も当初は「1億円以上ならばほとんど開示対象者がいない」という推定の下、当時の民主党政権下で開示に踏み切った。

開示する段階になってトップの報酬を開示対象から外すために1億円以下に引き下げる大手金融機関などが現われ、財界の一部からは開示制度を批判する声も上がった。横並び意識の強い産業界で、高額な報酬を得ていることが明らかになることを気にする経営者が多かったのである。

ところが、アベノミクスによって企業業績が大幅に改善したこともあり、2014年ごろから1億円超の報酬を支払う企業が増え始めた。

最近では、報酬を支払うルールを明確化し、ストックオプションや株式報酬などの割合を増やす企業が増加。そうした業績連動の結果、1億円以上になる役員のケースも増えている。

コーポレートガバナンス・コードなどで報酬ルールを明示するよう求められたことで、かえって高額報酬を受け取りやすいムードができているともいえる。

役員報酬が高いことが明らかになれば、社員のインセンティブにつながるという考え方もある。また、新卒学生などに入社を決断させるひとつの「夢」になるという声も聞かれる。サラリーマン社長でもうちの会社なら年俸1億円も夢じゃない、というのが入社説明会の売り文句になるというのである。

こうした高額報酬化の流れは今後も続くことになりそうだ。