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年収が高い人、のほうが年金問題には注意が必要だった

いまから、備えておくべきだ
加谷 珪一 プロフィール

「年収が高い人」は実は要注意

これまでの説明は単身者あるいは共働きなど、夫婦が独自の家計を営む人を前提にしている。これからの時代には、ほとんど該当者はいなくなるだろうが、いわゆる専業主婦世帯の場合には状況が変わってくる。

厚生年金の専業主婦世帯の場合、夫が先に死亡すると、夫の年金がなくなる代わりに、妻には多額の遺族厚生年金が支給される。詳細な計算は複雑だが、大雑把にいうと死亡前に受け取っていた厚生年金の約4分の3を引き続き受け取ることができる。

一方、共働き世帯の場合には遺族年金の額が小さいため、どちらかが先に死亡すると、年金額は半額もしくはそれに近い水準まで減ってしまう。

 

国民年金は個人単位となっており、夫が死亡した場合には、夫の年金がなくなるため、世帯収入という点では完全に半減してしまう。保険料の支払いも個人単位なので、自営業者で専業主婦の場合には、実質的に夫が妻の分の保険料も支払う必要が出てくる。

日本の年金制度は専業主婦世帯が多数存在していることが大前提となっており、結果的に専業主婦世帯に有利になるよう設計されていた。だが、この制度は時代に取り残されたものであり、今後は夫婦共働きで生涯労働というのがスタンダードとなる。こうした状況を考えると、年金制度上、有利だからといって、専業主婦を選択するということはやめた方がよい。

もうひとつ注意が必要なのは、比較的所得の高い世帯である。現在の厚生年金の規定では平均年収が約750万円以上の人は、年収がさらに上がっても年金額は増えない。年収が低い人に比べて、現役時代の収入と年金収入の落差が大きくなるので、老後に年金収入しかアテがない場合、生活水準の大幅な低下を強いられる。

年収が高いからといって消費に回すことはせず、その分は貯蓄や投資に充当しないと、同じ生活を維持することはできない。どの層にとっても生涯労働と貯蓄、投資は必須といってよいだろう。