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主要閣僚が続々辞任…イギリス政界にいま何が起きているのか

EU離脱を目前に噴出する不満
小林 恭子 プロフィール

「夢は死にかけている」

しかし、気持ちは収まらなかったようだ。

デービス氏は首相に宛てた辞任の書簡の中で、「現在の政策や戦術の方向性からすると、英国が本当に関税同盟や単一市場から離脱するとは思えなくなっている」と書いた。

現在のままだと、EUからの要求に「譲歩し続ける」ことになるとつながる、と。離脱担当大臣として自分が納得して交渉を続けることができなくなってしまったのだ。

9日朝のBBCによるインタビューで、デービス氏は「メイ首相の提案ではEUを離脱できるとは思えない」と述べている。

インタビューをしたローラ・クエンスバーグ氏は「この思いは保守党内の残留支持派と離脱派のどちらにも共有されている認識だ」と書く。

〔PHOTO〕gettyimages

ジョンソン氏の辞任表明の表現は、さらに辛らつだ。

英国により多くの機会と希望を与えるブレグジットを実現する「夢は死にかけている」。合意案はEUに対し「白旗を上げたようなものだ」。当初、仲間内で合意案を「政治的な糞だ」と呼んだ時よりはましの表現だったが。

デービス氏やジョンソン氏など、ブレグジット強硬派の不満は昨日や今日始まったものではなかった。何ヵ月にもわたる不満が今回、とうとうマグマのように吹き出てきたのである。

 

マグマの中には、2人より何世代も若手の政治家ジェイコブ・リースモッグ議員もいる。約60人のブレグジット強硬派グループを作り、メイ首相に関税同盟や単一市場からの完全離脱を実現するよう、プレッシャーをかける。

デービス氏の後任には離脱派のドミニク・ラーブ住宅担当閣外相が任命された。小粒の人選になったことは否めない。

ジョンソン氏の次の外相はメイ首相のお気に入りの一人で、保健大臣だったジェレミー・ハント氏が就任した。ハント氏はもともと残留派だったが、最近は離脱派的発言をするようになった人物だ。

リースモッグ議員、デービス氏、ジョンソン氏によるハード・ブレグジットに向けたプレッシャーはますます強くなりそうだ。