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米中貿易戦争・開戦して分かった、中国には「3つの不利」がある

習近平政権は「徹底抗戦」を選択
近藤 大介 プロフィール

「貿易覇権主義に、永遠の休息を与えてやる!」

一方、同じ7月7日付『人民日報』の公式見解である「人民日報評論員:アメリカの貿易覇権主義が全世界に損害を与える」は、もう少し理性的なアメリカ批判を展開している。少し長いがこちらも全訳してみる。

〈 7月6日、国際貿易の歴史に重苦しい一筆が加えられたことに留意する。アメリカはWTOの規則に違反して、史上最大規模の貿易戦争を発動した。それは、340億ドル分の中国産品に25%の追加関税をかけるというものだ。

だがこんなことで中国経済の発展の基調は動揺しないし、中国国民の「二つの100年」(2021年の中国共産党100周年と2049年の建国100周年)の奮闘目標に対する信頼とヤル気を削ぐことにもならない。それどころか、アメリカは必ずや相応の反撃に遭うだろう。

それにしても、アメリカの道理をわきまえない専横的な挙動がもたらした貿易覇権主義は、まことに有害無窮である。中米両国の企業と国民の利益を損なうばかりか、全世界の自由貿易とグローバル体制の大きな脅威となるもので、世界経済復興の足取りを妨げるものだ。

中国は世界第2位の経済大国であり、中米両国の経済は深く交差している。アメリカは、自らの最大貿易相手国に対して平手打ちを喰らわせておきながら、他の貿易パートナー国とともに、いわゆるアメリカが「損をする」問題の解決を図る際に、どうするつもりなのか? ひとたびこの種の貿易覇権主義を持ち出し、大手を振って歩いたならば、国際貿易にはいったいどんな公平さや公正さがあると言えようか?

アメリカのように関税を上げて国内産業を保護しようとするのは、短絡的であり、死に至る道だ。ある経済協力組織の予測によれば、もしアメリカの関税引き上げによって他国も反発して同様の措置に出たなら、最終的に全世界の貿易コストは10%上がり、貿易量は6%減少する。

アメリカのシンクタンクのブルッキングス研究所が研究発表しているのは、もしも世界中で激しい貿易戦争が勃発したなら、すなわち関税が40%引き上げられたなら、全世界の経済が1930年代の大恐慌の再現となるだろうということだ。

経済のグローバリズム化は世界経済の成長に強力なエンジンを提供しており、商品と資本の流動、科学技術と文明の進歩、各国の国民の往来を促進している。それは社会の生産力の発展の客観的な要求と、科学技術の進歩の必然的な結果であり、決して阻止できない時代の潮流である。

「他人の灯を吹き消す者は、最後は自分の灯が消される」と言う。アメリカの貿易覇権主義が、貿易の自由化と利便化を著しく損害したことは、すでに全世界に向けて火を放ったことであると同時に、自身に対しても火を放ったのだ。

国際貿易というのは、互利共勝を基礎としている。強制的な売買、詐称による利益誘導、恐喝行為などは、すべて自由貿易の歪曲であり、市場の規律に反するものだ。いずれは世界的な範囲での資源の誤配を呼び起こし、最終的には自身を害するものだ。

アメリカの貿易覇権主義の行動は、まさに全世界の産業のチェーンと価値のチェーンの安全を著しく損なわせるものであり、全世界の市場に混乱を引き起こすものだ。世界中の無辜の多国籍企業や国内企業、一般消費者に波及し、そればかりかアメリカ企業と国民の利益をも損なわせるだろう。

データが示しているのは、アメリカが公布した340億ドル分の中国産品の追加関税リストの中で、約200億ドル分の産品は、中国国内に進出している外資系企業が生産したものであり、アメリカ企業が相当な比率を占めている。中国のアメリカ商会が先日発表した報告によれば、アメリカ政府による輸入商品への追加関税は、実際にはアメリカの消費者と企業への課税であり、ゆくゆくはアメリカ経済全体の復興を脅かし、アメリカの就業に悪影響を及ぼすのだ。

 

事ここに至り、アメリカは必ずや一つの現実を認識しないといけない。それは、いかなる貿易の保護主義の大ナタをもってしても、中国を脅しつけたり倒したりはできないということだ。勤労で知恵を持ち勇敢な中国国民は、来るいかなる外部圧力をも恐れることはない。立ち上がり、富んでゆき、強くなっていく歴史の推移の中で、われわれは一つ一つの圧力を動力に変え、自身の状況をさらに精彩あるものに好転させてきた。

ホワイトハウスが覚えておくべきなのは、半世紀以上前、戦争の傷跡に囲まれて、廃墟の中から復興を待ち望む中国は、「それらに封をしておけ、10年、8年そうしておけば、中国の一切の問題は解決しているだろう」と声を絞り上げたことだ。

いまや雄興に発展した実力と強大な道義観によって、世界の舞台の中央に近づきつつある中国は、アメリカの貿易覇権主義を容認し、国家の核心的利益と国民の利益を損害し、無原則な撤退譲歩をすることができようか? ましてや責任を負った大国として、中国が覚醒し、認識しているのは、アメリカとの今回の貿易戦争に打ち勝つということだ。

そしてアメリカに対して、貿易覇権主義に往く道と未来はなく、国際的な経済貿易の秩序は守られ、全世界の発展は天が支えるということを実際に分からせるのだ。「戦争をもって戦争を止めるのなら、戦争を起こすのであっても可なるべし」と言う。苦労を嫌い、利にさとい者がなかなか覚醒できないというなら、基本的な現実に立ち返らせることだ。

世界の潮流は滔々と流れており、その流れに順ずる者は栄え、逆らう者は滅びる。中国が改革開放を推進しているのは、自身の発展に必要だからという主動的な行為に基づくものだ。中国は過去もそうでなく、現在もないが、将来においてもまた、他人の制約は受けないし、それによってコントロールされることもない。

外界の環境がどう変化しようとも、中国は既定の路線によって、国民中心を堅持し、改革の深化と開放の拡大を変わることなく定める。そして世界各国と道を一つにして、予測可能な全世界の経済貿易環境を、決然と維持、保護し、安定的にさせていく。貿易覇権主義に、永遠の休息を与えてやる! 〉

この『人民日報』の公式見解を読むと、まさに正論を説いているように思える。「悪いのは米トランプ政権の方である」というのは、その通りだろう。