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米中貿易戦争・開戦して分かった、中国には「3つの不利」がある

習近平政権は「徹底抗戦」を選択
近藤 大介 プロフィール

「貿易覇権主義は必ず敗れる」

翌7日の国際紙『環球時報』は、「ワシントンの貿易覇権主義は必ず敗れる」と題した勇ましい社説を載せた。これはアメリカに「先制攻撃」された「防衛戦争」であり、徹底的に戦い抜く決意を示したものだ。以下、冒頭部分の事実の重複を除いて、全文を訳出する。

〈 アメリカが貿易戦争の最初の一撃を放った。だが中国を倒すには及ばず、必ずや強力な反撃を喰らうだろう。

まず第一に、アメリカは世界の貿易の歴史に、永久に残る汚点を刻んだ。ワシントンはWTOの規則に完全に違反した史上最大規模の貿易戦争を故意に発動し、世界経済を全面的に破壊する影響を与える可能性がある。それは、ワシントンのちっぽけなソロバンで弾き出したようなものとはかけ離れた規模だ。この一点だけをとっても、アメリカはまさに、世界貿易史に残る犯罪人だ。

第二に、ワシントンの貿易覇権主義が敗北に終わることは疑いがない。貿易戦争というのは本来、勝者がいないものだ。だがワシントンは、自分たちが勝つと無理やり思い込んで開戦したのだ。だがすでにいまや、彼らは道理を聞いても耳に入らなくなってしまっている。もしかしたら、「戦場」で痛い目に遭って初めて、理性を取り戻すのかもしれない。

グローバリゼーションが深く浸透した21世紀にあって、各国の経済は、とりわけ中国とアメリカの経済は、「自己の中に相手があり、相手の中に自己がある」関係にあり、切り離すことはできない。アメリカが中国を叩いて、自分は無傷などということはあり得ないのだ。

現在ワシントンが踏んでいるのは二本のレッドラインだ。一本は多国間の規則というレッドラインであり、もう一本は中国が発展していく権利というレッドラインだ。前者によって全世界の反対に遭い、後者によって中国からの当然の自衛のための反撃に遭っている。ワシントンは、世界の反対と中国の反撃が巨大なパワーとなることを大きく見くびっていたのだ。

中国にとってみれば、アメリカが門を破って入ってきたので、決然と応戦せざるを得ない。われわれは一つ一つの「戦役」で、アメリカを撃退していく。中国にはそれだけの能力が完全に備わっているのであって、大事なのは決心と意志だ。表面上はアメリカの威勢がよいが、今回対抗していく規模は空前のもので、意志の弱い者が弱音を吐くのも、いたって正常なことだ。

しかし総じて言えば、アメリカが中国に対して、一歩一歩圧力をかけることは、中国社会のこの上ない憤慨を巻き起こしている。中国人をさらに覚醒させ、さらに団結させ、されに強固なものにしたのだ。

 

今回の貿易戦争は、国家の利益に関するものであると同時に、国家の尊厳にも関わるものだ。われわれが信じているのは、中華民族は無窮無尽の聡明な才智を持ち、われわれの科学技術やイノベーション能力は、いかなる国家や民族にも劣らないということだ。

重要なのは、全社会の智恵と情熱を十分に発奮させ、国民が真摯に効果的に団結していくことだ。共産党の指導のもとで、皆の志を城のように積み上げ、百花斉放で個性の発揚を十分に鼓舞する局面を作るのだ。そのようにしていけば、眼前の貿易戦争など、何するものかだ。

われわれは沈着にワシントンの狂騒に応対し、効果的だが出すぎないものを求めていく。照準を定めて打撃していく。アメリカ政府及び社会の貿易戦争に対する見方も分裂している。われわれは一体誰が貿易戦争を発動した真の狂騒者なのかを審らかにし、それらの人物の利益が一層大きな損害を被るよう、具体的な対処方法を研究していく。

われわれはすべてにおいて団結し、団結したパワーを示していく。ワシントンは現在、単独で世界に挑戦しており、反米国家は増える一方である。われわれの団結したパワーもますます強化されつつある。総じて言えば、われわれは最悪の準備をうまく行い、最良の結果を掴むのだ。短期の痛みに耐え、久遠の利益を謀るのだ。

歴史的に見れば、中国が生存し発展していく環境は、もともと田園牧歌ではなく、それは将来においても同様だ。ワシントンの今回の災難の発動は、一定の必然性がある。中国は外界の複雑な博奕と闘争の中に入ってしまったが、一歩一歩強大になり、豊富な経験と知恵を蓄積させていくのだ。

今回の障害を乗り越えれば、必ずやさらに強大で自信に満ちた中国となるだろう 〉

この社説で興味深かったのは、トランプ政権が仕掛けてきた「貿易戦争」という外圧を利用して、習近平政権の求心力を高めようとしていることだ。そして、ここでアメリカを屈服させることができれば、アメリカに伍していく大国になれると見ているのである。