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週刊現代

『ダ・ヴィンチ・コード』作者が見極めた、人類の未来

進化論、人工知能を巡るミステリー

幼少期に抱えた大きな不満

―最新作の『オリジン』(上・下)宗教象徴学者のラングドンが世界を股にかけて巨大な謎や陰謀に挑む大人気シリーズの最新刊です。

世界中のファンが待ちわびた新作のテーマは、ずばり「人類の起源とその未来」。聞くだけでワクワクさせられるテーマですが、構想はいつ頃固まったのでしょうか。

この本を出版するに当たって、調査に2年、執筆に2年の歳月がかかっています。しかし、「われわれはどこから来て、どこへ行くのか」というテーマ自体は、幼い頃からずっと脳裏にありました。

私は敬虔なクリスチャンの母と、多くの教科書を執筆している数学者の父の間に生まれ、幼い頃から科学と宗教、2つの世界に囲まれた環境で育ってきました。

 

そして、9歳のときに科学博物館を訪れた際に、ダーウィンの進化論のことを初めて知ります。聖書に書かれているのとはまったく違う人類の起源について不思議に思った私は、神父に「聖書と進化論とどちらが正しいの?」と尋ねました。

すると、返ってきた答えは「よい子はそういう質問をしないものだよ」。大きな不満が残りました。

あの頃から、「科学と宗教をつなぐ橋」をずっと探し続けてきました。「神と科学」という命題に正面から挑んだ「ラングドンシリーズ」は、私なりのひとつの答えです。

―『オリジン』のインスピレーションは、どこから受けたものなのでしょうか。

今回はミサ曲『チャールズ・ダーウィン』を聴いたのがきっかけでした。弟のグレゴリー・ブラウン(作曲家)が作曲したものですが、ダーウィンの言葉を歌詞に盛り込み、まさに科学と宗教の「融合」が図られていた。

そこで私は、生命の起源について考えはじめました。どの宗教も、「生命の起源」、そして「死後どこに行くのか」について、独自のストーリーを持っています。自分が取り組まなければいけないテーマだと感じました。

―本作は「人類の起源と運命を科学的に証明する」と予告した、ラングドンの教え子で天才学者エドモンド・カーシュが何者かに暗殺される衝撃的な場面で幕を開け、宗教と科学の対決が始まります。

カーシュのキャラクターは非常に魅力的ですが、モデルはいるのでしょうか。

当初は、人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルをイメージして書き始めました。そして、自動運転など様々な革新的技術で世間を騒がせるテスラのCEO、イーロン・マスクのイメージも融合させ、カーシュという人物が完成しました。