環境・エネルギー

東海第2原発、本当に「こんな状態」で再稼働させるつもりですか

そうか、狙いは別のところにあるのか…
町田 徹 プロフィール

逃げ続けるのはそろそろやめにして

この原発の再稼働を強行したら、内閣のひとつやふたつ吹き飛んでもおかしくないと、筆者は懸念している。

それほどの困難が予想されるにもかかわらず、いったいなぜ、日本原電は東海第2原発の再稼働にここまで拘るのだろうか。

 

日本原電は、原子力開発をめぐる政府と電力9社の主導権争いの“妥協”の産物として、1957年に発足した“国策会社”だ。業務内容は、原子力発電とその付随業務のみで、東海、敦賀の2発電所に3基の原子炉を保有しているが、敦賀1号機はすでに廃炉に向けて営業運転を終了。2号機も原子炉直下に活断層がある疑いがあり、廃炉に追い込まれる公算が大きい。

東日本大震災以降はまったく発電実績がなく、電力を供給しなくても電力各社から支払われる基本料金と、銀行借り入れに必要な債務保証の二つに支えられて、なんとか経営破たんを免れてきた。

つまり、現状では、首都圏の原発・東海第2を再稼働させる以外に企業として生き残る方策がなく、再稼働・運転延長を掲げ続けている状態なのである。日本原電の本音は、「とことんまでやって東海第2の再稼働が難しいことを証明して、返す刀で、敦賀原発に3、4号機の新設を認めさせることにある」(大手電力会社)という見方もあるほどだ。

しかし、福島第一原発事故で世界中の原発の安全対策コストが高騰する中で、今さら日本原電が単独で原発を新設するというのは、おカネがかかり過ぎて机上の空論としか言いようがない。

長期政権にもかかわらず、安倍政権がこれまで、票にならないからとの理由で、原子力を巡る抜本策の必要性に目を瞑って来たのは、関係者にとって周知の事実だ。しかし、その姿勢を改めないと、われわれ国民が支払う税金や電気料金の1800億円が動くはずのない東海第2原発の安全対策に浪費されることになりかねない。

わざわざ「首都圏の原発・東海第2」を再稼働させなくても、日本原電という企業体を破たんさせずに有効に活かす方法はある。

そのひとつは、福島第一原発事故という重大事故を起こした東電に柏崎刈羽原発の再稼働を認めるという乱暴な方針を撤回して、日本原電を含む複数の会社に運転を委託させることだ。

日本原電を含む複数の会社が運転を受託する原発には、計画から半世紀以上が経つのに、なお5~10年は運転を開始できないと懸念されている、電源開発の大間原発を加える手もある。政府が有耶無耶にしてきた原発の新設を認めるのならば、原電を含む数社が自ら原発を建設する用地として、東電の東通原発建設用地を売却させる手もあるはずである。

ちなみに、核燃料サイクルの一環でプルトニウムを燃やすことになっている大間原発は、いわば核のゴミ処理施設のような原発だ。トランプ政権をはじめ世界から保有プルトニウムの削減を迫られている今こそ、早期の運転開始が必要になっている。

また、日本原電の国策会社としての役割を重視するのならば、今後必要性が増す廃炉へ向けた専門的な人材の育成や、技術的なノウハウの獲得、それらの知見の電力各社への提供などを主力業務として背負わせる戦略も考えられる。

こうした新しい役割のためならば、電力各社やメーカーは従来の基本料金に代わる資金の提供や、債務保証を検討する余地が出てくるはずだ。

福島第一原発事故後の経緯を見ていれば、経済産業省が頼りにならないことは明らかだ。今こそ、この問題は安倍首相に政権を挙げて検討してもらう必要のあるテーマだ。票にならないからと逃げ続けるのは、そろそろやめていただかなければならない。

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