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日本人が気づいていない、米中貿易戦争「これから本当に起きること」

完全に言いがかりであり「難癖」だが…
唐鎌 大輔 プロフィール

最初に弾切れするのは中国?

もちろん、こうした措置を受けて中国も黙ってはいない。

中国国務院(政府)は同じく先週6日、米国からの輸入品340億ドルに25%の追加関税を課す方針を発動している。

具体的には545品目(米国と同じく340億ドル相当)を対象とし、米国産の牛肉、豚肉、大豆、小麦などの農産物、エビ、ウナギ、タラなどの水産物そして自動車などが含まれる。

トランプ大統領と与党・共和党の支持基盤である主要産業を狙い撃ちにする意図があるのは明らかだろう。これは中間選挙まで4ヵ月を切ったトランプ政権に対しては有効打となりそうである。

 

とはいえ、絶対額で比較すれば「米国が課税できる中国からの輸入額(2017年で5063億ドル)」よりも「中国が課税できる米国からの輸入額(2017年で1304億ドル、※米国の対中輸出額)」は圧倒的に小さい。ゆえに、同額・同率の関税を掛け合っていれば必ず中国が最初に弾切れに至る。

6月19日、中国が「(米国に対して)質と量を組み合わせた総合的な措置」と宣言したのは、そうした財貿易に限定されない手段(通貨安誘導や対中投資規制の厳格化など)を使って、一切退くつもりは無いという意思表示である。

鉄鋼・アルミニウムへの追加関税が決定された3月頃を境として人民元相場の上昇が止まり、今回の課税に繋がる通商法301条を理由にした500 億ドル課税決定の6月15日を境に急落し始めたのは偶然ではない(以下、図)。

「総合的な措置」はまず通貨政策からのアプローチが始まっている。

この戦いは2020年までは続く

今のところ米中一歩も譲らずという構図であり、これが変わる気配も特に感じられない。だが、トランプ政権のやっていることが仮に中間選挙対策なのであれば、残り4ヵ月間で選挙民にアピールする「何か」を得なければならない。

短期間で中国から「何か」を引き出すには極力高い球を投げておく必要があるため、今年に入ってからの矢継ぎ早な動きは首肯できる。だが、仮に中間選挙前に何らかの手打ちに至ったとしても、トランプ大統領の本当の狙いは自身の再選であろうから2020年まではこの種の動きは続く可能性が高い。