金融・投資・マーケット

不安定な中国経済の行方を読み解く

米中経済戦争に揺れる中で

米中の貿易戦争への懸念から、中国の金融市場全体が不安定に推移している。米国が中国への制裁措置を発表した3月下旬以降、人民元はドルに対して5%以上下落してきた。1月下旬につけた高値から上海総合指数は20%以上下落し、弱気相場に突入した。政府が過剰債務の削減に注力していることも重なって、中国企業の資金繰りもひっ迫気味だ。

当面、中国金融市場の不安定な動きは続くだろう。懸念されるのは、中国の景気回復のペースが鈍化している中で、債券のデフォルトが増えていることだ。状況によっては、経済全体で“バランスシート調整”が進み、中国の経済と金融市場にストレスがかかる可能性もある。政府が力づくで金融市場の混乱を抑えようとするのであれば、中国内外の金融市場が動揺することもあるだろう。

 

中国株の下落の原因

中国の株式、債券、通貨(人民元)は下落基調で推移している。これは、米国のトランプ政権が仕掛ける貿易戦争への懸念に影響されている。

貿易戦争は2つの視点から考えるとわかりやすい。中間選挙に向けた人気取り政策と、米中の覇権国争いだ。後者は中間選挙の後も続く可能性がある。特に、IT先端分野で、米国は中国の台頭を抑えようとするだろう。

その懸念は、中国の株式市場を見るとよくわかる。年初来から7月上旬まで、中国のハイテク企業が多く組み入れられたシンセン総合指数は、20%程度下落した。過去1か月程度の下落率をみても、報道で取り上げられることの多い上海総合指数や、新興企業向け市場の平均的な株価動向を示す“創業板(チャイネクスト)”指数よりも、シンセン総合指数の下落率は大きい。

中国の株式市場が下落する中、市場参加者は貿易戦争に加えて、中国当局の介入にも神経をとがらせている。2015年夏の株価急落の際、中国政府は空売りの禁止にとどまらず、株式売買そのものを停止(禁止)した。その対応を見たある投資家は、「中国政府は、市場のメカニズムをコントロールできると考えているようだ」との印象を口にしていた。

米中の貿易戦争は覇権国争いの一部だ。両国間の摩擦が、すぐに解消されるとは考えづらい。貿易戦争は景気循環などに基づくリスクとは違う。それは、トランプ大統領という一政治家の考えに影響された部分が大きい。トランプ氏が世界経済の常識をわきまえていないだけに、先行きの予想は難しい。投資家はリスク回避を優先するだろう。当面、中国金融市場の不安定な展開が見込まれる。