インド最北部から眺めるヒマラヤ山脈(写真:室橋裕和)

さあ、自由かつ冒険的な極上旅で「青春」を取り戻そうよ!

海外ひとり旅にどっぷりハマる理由
朝から晩まで観光名所をひたすら回って、ヘトヘトに疲れる毎日が続くツアー旅行にはもううんざり。せっかくの海外旅行なら、ひとり気ままに「人々の生活の場」を自由にたどっていきたい。そのヒントとなるのが、旅のプロたちが記した『おとなの青春旅行』だ。これを読んだら、いざ、夏旅に出よう!

下川裕治×室橋裕和トークイベント「個人で愉しむ大人の青春旅行」開催!

2018年7月25日(水) 19:30~(19:00開場)

旅の本屋のまど(東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1階)

ご予約はこちらから→http://www.nomad-books.co.jp/

ツアーに疲れた人へ

旅、といったとき、あなたは何を連想するだろうか。

古代の遺跡や博物館などの、名所・旧跡だろうか。それとも、おしゃれなレストランや、豪華なホテルだろうか。

それらをくまなく回ってみるのも、もちろん楽しいものだ。実際、日本人が参加するツアーも、その大半は「観光地・レストラン・ホテル(そして土産物屋)」を結ぶ形で、パッケージされている。こうしたスタイルの旅行が王道であり、旅行会社にしても確かな需要が見込めるのだろう。

「ツアーは詰め込めば詰め込むほど、売れる」

ある大手旅行会社の幹部は、私にそう語った。ツアーは商品としての旅である以上、どうしても、最大公約数的な内容を盛り込む必要がある。有名な史跡やショップ、ホテルをどれだけたくさん巡れるかが勝負になってくるのだ。

しかし──。その慌ただしさの中では、土地の人々の営みに目を留める余裕は持ちづらいのではないか。早朝から夜まで観光名所をひたすら回って、ヘトヘトに疲れる毎日が続くツアーに参加した人も多いだろう。

もしかしたら、ツアーで疲労困憊して、「もう旅なんてまっぴらだ!」と心や身体を閉ざしてしまった人もいるかもしれない。

それに──。ツアーには、抜け落ちているものがたくさんあるように思う。

それは、「自分の足で、思うがままに、興味のままに歩くこと」。

異国の街を、路地から路地にさ迷い歩いてみる。おいしそうな匂いにつられて、旅行者なんて誰もいない食堂をのぞいてみる。ときには地元の人々で賑わう酒場に足を踏み入れてみる。

歩き疲れたら宿を探して、今夜の寝床を求める……そしてひとつの街にしばしとどまり、土地の人々とささやかな会話を交わし、今が潮時と感じたら、次の街へ、次の国へと旅立っていく。

観光地とは必ずしも限らない、人々の生活の場をじっくりたどっていくこと。それが本来の「旅」であるように思うのだ。

 

その道のりは平坦ではない。異なる文化、異なる顔立ちの人々の中を歩く、ふしぎな高揚感。さまざまな発見や驚き。自分ただひとりが外国人だという心細さや不安。言葉の壁。毎日のように起きるトラブル──。

ひと筋縄ではいかない。だからこそ、人は旅に手ごたえや生きがいを感じ、のめりこんでいく。前に進んでいく。

そんな旅の本質を、ツアーで味わうことはなかなか難しい。

だから、個人で出かけてみよう。ジェットコースターのような目まぐるしいツアーではなく、大人の余裕を持って、自分の意思と興味のままに歩き、気の向くままに旅をする。古の旅人のように。

世界遺産・サマルカンド(ウズベキスタン)の旧市街(写真:室橋裕和)

「生活」を穏やかに紡いでいく

個人で旅をしていくとは、どんな毎日を送ることなのだろうか。

朝、起きてからまず、今日はどこに行こう、なにをしよう、と思う。そういえば洗濯をしていなかったなあ、と考え、カーテンを開けて眩しい陽光に目を細めながら、「いっちょまとめて洗うか!」と決意するかもしれない。あるいは、すっかりなじみになった近所の屋台で朝食を食べようと、ベッドを出る人もいるだろう。

昨晩ロビーで一緒に飲んだ宿泊客と、朝のあいさつを交わす。この街で見ておきたい観光地への行き方を宿の主人に聞いたが、いつ行こうかと迷った末に、明日でいいかとまた先延ばしするのもよいだろう。

歩き慣れてきた街を散歩し、何度か通った食堂で腹を満たし、カフェでゆったりと本を読む。宿に戻って、その日に起きたことを、あるいは、いかに何も起きなかったかを日記にしたためる……。

それはひと言で言うと、「生活」である。