排水溝にたまった10㎝の水で窒息してしまった事故もある。目を離せない、それが保育の現場だ Photo by iStock
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命を落とすかもしれない「危ない保育所・危ない幼稚園」の見極め方

二度とこの悲劇を繰り返さないために

来春2019年4月に保育園や幼稚園にお子さんを入園させたいと考えている保護者にとって、これからは園決定のための見学など、情報収集に最適の時期。ジャーナリストとして「保育」の問題について長らく取材・執筆し、現在は保育学の研究者でもある猪熊弘子さんはこう言う。

「日本では、一人ひとりの子どもにていねいに寄り沿い、暖かく成長を見守っている多くの素晴らしい幼稚園・保育園がある一方で、残念ながら子どもの成長にとってはあまり良いとは言えない保育を行っている園もあります。また、決して起きてほしくない悲しい重大事故や、子どもが被害者となる事件もあとを絶ちません」

猪熊さんは、現状に大きな危機感を感じ、弁護士の寺町東子さんと共著で『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』を刊行した。そこで、保護者が園探しを始める夏休みの前に、わが子を守るためにぜひ知っておいてほしいことについて、短期集中連載で「危ない保育所・幼稚園」の見分け方をお伝えする。第一回は、最も大切な「子どもの命を守る」園とは何か。

 

14年の間に200人近くが亡くなっている

都市部には待機児童が多く、なかなか園を「選ぶ」ということはしにくい状況でしょう。そんな中でも絶対譲れないのは、子どもの生命が最優先だということです。厳しい状況の中で、子どもの生命を守るため、親は何を基準に「選ぶ」べきなのでしょうか?

生きていればさまざまな悲しみや苦しみを味わうことがありますが、中でもわが子を亡くすという体験は、この世の中で最も悲しい出来事ではないでしょうか。しかも、通わせていた幼稚園や保育施設で亡くなったとしたら……。親にとっては、自分たちが「選んだ」園で、最愛のわが子を亡くしたことで二重の苦しみになってしまいます。

内閣府(2014年までは厚生労働省)では、2004年から2017年までの保育施設での死亡事故を含む重大事故について、報告があったものを元に公表しています(公表を開始したのは2009年)。これは「子ども・子育て支援新制度」に入っている施設についての数字であり、新制度に入っていない私立幼稚園については、文科省に報告するよう通達は出ているものの、ここには含まれていません(本来、就学前の子どもの施設という枠で、新制度に入っている、いないに関わらず、すべて同等に調査・公表するべきだと考えます)。

公表された資料によれば、残念なことに、日本では毎年、保育施設での事故で10数人の子どもが亡くなり、2004〜2017年までの14年間に亡くなった子どもは少なくとも198人に上ることがわかっています(表1参照)。年齢別にみると、0歳99人、1歳58人、2歳16人、3歳6人、4歳8人、5歳5人、6歳6人となり、0〜1歳の赤ちゃんが全体の8割を占めます。ついで2歳が多く、3歳以上になるとその数は少なくなります。


拡大画像表示表1:保育施設での死亡事故(内閣府の発表を元に筆者作成)
注:各年1月1日〜12月31日までの1年間(「年度」ではない)。子どもの年齢は「満年齢」(学年ではない)。

認可保育所と認可外保育施設とでは、圧倒的に認可外施設での事故の数が上回っています。見学に行ってもいろいろな理由を付けて保育中の様子を一切見せてくれないような施設は、「見せられない理由があるのかもしれない」と考えて、避けた方が無難でしょう。