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間もなく、「自分の寿命を自分でコントロールする時代」がやってくる

生命科学はいよいよ「神の領域」に

105歳を超えると死亡率が低下

「人類の寿命は、まだ上限に達していない」とする研究成果が先月、イタリア、デンマーク、ドイツ、米国の共同研究チームから発表された。

http://science.sciencemag.org/content/360/6396/1459

この調査を実施したのは、ローマ・サピエンツァ大学・統計科学部のElizabetta Barbi博士ら、欧米4ヵ国の大学・研究機関に所属する8名の研究者。彼らはイタリア国民の中から、2009~2015年の間に105歳に達した長寿者3836名を選び出し、この集団を追跡調査することで長寿者の死亡率を年齢別に算出した。

それによれば、(通常、人間の死亡率は年齢が増すほど上昇するはずだが)105歳を超えると死亡率がむしろ低下傾向になる。つまり人間は106歳になると、105歳のときより、若干、生存率が高まるということだ。

ただし、ここから導かれる結論は「人間の寿命に限界はない(人間は永遠に生き続けることができる)」ではない。むしろ「人間の寿命の上限は、現時点では、まだ確定することができない」ということだ。

同研究チームを率いたBarbi博士は、米ニューヨーク・タイムズに掲載された記事の中で「人間の寿命に生物学的な上限があるとしても、人類は(現時点で)その上限にまだ達していない」と語っている。

 

これまでは「115歳」上限説

これは従来の研究成果を覆す内容だ。

これまでの長寿世界記録は、1997年に死亡したフランス人女性Jeanne Calmentさんの122歳。が、この記録は科学者らの間で一種の「outlier(統計的異常値)」と位置付けられており、本来の生物学的な寿命の上限は122歳よりも低いと見られていた。

たとえば2016年に英ネイチャー誌に発表された論文では、人間の寿命の上限を115歳と推定している。この調査を実施した米アインシュタイン医科大学・研究チームは「国際長寿データベース(International Database on Longevity)」などに残されている、フランス、日本、米国、英国などの長寿記録(the age of the oldest person to die)を検索した。

これらのデータから研究チームは「人間の長寿記録は1970年代~1990年代序盤にかけて順調に上昇したが、1990年代中盤に115歳に達したところでほぼ上限に達した」と結論付けた(図1)。

図1)各年次における長寿記録の推移(赤い点線) 
出典:https://www.nature.com/news/human-age-limit-claim-sparks-debate-1.20750