社会保障・雇用・労働

「定年後に終わる人」と「定年後から始まる人」の、ほんの少しの差

「薄く広い人脈」を作れますか?
清水 計宏

テクロノジーの時代でも変わらず大切なこと

江戸時代に『折たく柴の記』を著した新井白石は、「才あるものは徳あらず。徳あるものは才あらず。真材誠に得がたし」としみじみ記している。

頭のいい人は案外と多いものだが、人間的魅力で人を引きつけられる徳のある人は意外と少ない。テクノロジーが発達していくと、単に頭がいい(インテリジェント)だけなら、AI(人工知能)で十分ということになりかねない。

某企業の管理職がキックオフの挨拶に立ち、「企業幹部から女子社員まで全社一丸となって目標を達成しよう」とシュプレヒコールを上げて、女性社員からは顰蹙(ひんしゅく)をかった。

女子を最下位に見ている心理が表れていたからだ。上から目線でいると、下の立場にいる人の気持ちを察し損ねることがある。

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また、とかく巨大な本社ビルが完成した後に入社した社員は小粒になりがちだといわれる。企業で人が着実に成長するときには企業も成長しているが、逆に企業が安定すると社員の発想も小さくなりがちだ。

S字曲線を繰り返しながら成長を続ければ、0(ゼロ)から1を生み出せる人たちを輩出する。1から5、10、20へとする(すべ)も体得することになる。

 

会社の規模が大きくなり、その看板やブランド、ポストを背にしながら小さな歯車として仕事をするようになると、0から1を生み出すクリエイティビティや発想力、奮発力が不足しがちになる。

大企業になると、企業戦略や経営手法がシステム化され、100を103、105、110に増やすことは、さほど難しいことではなくなる。これを自分の実力だと勘違いする人もいる。

それに加えて、企業の中で代わり映えのしないルーティーンワークや忙しいばかりの業務に長く携わっていると、精神的に磨り減ってきて、しだいに楽に生きようと思いがちになる。

そうなると人間的に成長することが難しくなり、周りの人たちに生気を伝えられなくなり、機運も衰えがちになる。

大企業のポストや有名ブランドを後ろ盾に、権限・権威を笠に着て生きて来た人は、組織から見放されると無力になりがちである。というのも、自己のブランディングはほぼゼロに等しいからだ。