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ポーランド戦「ラスト10分」を恥じる必要は何もない

次につながる決断だった

状況は切迫していた

6月28日、ヴォルゴグラード・アレーナ。ポーランド戦、西野朗監督は第1、2戦のコロンビア、セネガル戦から、先発を6人も交代させた。

控えめに言って、この賭けは空転した。59分にセットプレーで失点し、見せ場もなく敗れている。サイドでのコンビネーションはほとんど生まれず、中盤には補完関係がうまくいかず、スペースを相手に明け渡すことになった。 

この日、初のスタメンに抜擢された宇佐美貴史は訥々と語っている。

「監督からは『相手はそれほど出てこないから、ボールを動かしていくサッカーでいくぞ』という話があって。できた部分もあったが、セットプレーから失点してしまった。いいプレーを継続してやらないといけない中、勝てなかったけど、最低限の目標は達成できた」

3位のセネガルと同勝ち点、同得失点差。イエローカードの枚数の少なさで、グループリーグ突破はできた。しかし、僥倖に近かった。試合そのものは空回りしていたのだ。

そしてラスト10分の戦いは、国内外で物議を醸している。

 

終盤、日本は際どいマネジメントを迫られた。82分にFW武藤嘉紀に代え、長谷部誠を投入。リードされている状況で、得点を狙う選択肢を減らした。

「ラスト10分も諦めず、積極的に行くべきだった」「なぜ攻撃的な選手を入れず、長谷部を投入したのか?」「時間稼ぎで逃げた」「卑怯だ!見苦しい!」

そんな批判が巻き起こっている。もしセネガルがコロンビアに1点返していた場合、日本はグループリーグ敗退が決まっていただけに、「なぜ同点に追いつくために万策を尽くさないのか」という苛立ちはわかる。

しかしこのとき、状況はかなり切迫したものになっていた。ポーランド戦の「ラスト10分」から、西野ジャパンの真実が見えてくる。

「先発6人変更」の重み

まず初手まで遡ると、どう考えても、6人の先発変更はリスキーだった。選手の疲労を考慮し、ヴォルゴグラードの暑さやポーランドの士気の低さも鑑みたのだろう。だがそれにしても、6人も変えればチームの機能は失われる。

案の定、という戦いになった。

宇佐美は個人プレーに関しては技術の高さを見せるものの、コンビネーションを使えない。いたずらにボールを持ち、可能性の低い仕掛けを繰り返した。

酒井高徳は本来のポジションではないサイドアタッカーで、守備のふたとなることを求められたのは気の毒だった。ボールを受け、運ぶ起点になれず、まるで「地雷」のようだった。もし背後に酒井宏樹がいなかったら、大惨事になっていただろう。乾貴士、原口元気が攻守においてサイドでアドバンテージを作っていたのと比べ、対照的だった。

中盤も不安定なプレーを見せた。この日、初めて抜擢された山口蛍を責めるべきではないかもしれない。しかし、長谷部誠との差は明白だった。

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山口は長谷部のように、バックラインと前線をつなぎ、カバーする役割を求められたが、その仕事ができていない。もう一人のボランチである柴崎岳のプレーも低調で、結果として、長谷部のバックアップがいかに大きかったかが証明された。

34歳の長谷部の疲労負担を考えた結果だったかもしれないが、彼の不在は綱渡りだった。大会後の話をするなら、長谷部の後継を見つけることが急務だ(個人的にはFC東京の橋本拳人を推す)。

ポーランド戦の西野ジャパンは、文字通り急造のチームだった。ラスト10分、もし無謀に攻撃的な枚数を増やしていたら――。日本は失点を浴び、グループリーグで敗退していたはずだ。