Photo by gettyimages
防衛・安全保障 国際・外交 アメリカ 北朝鮮

「トランプと金正恩どっちが強そう?」全米世論調査の答えは…

支持率は伸びなかったけれど

全然伸びない「大統領の支持率」

米朝首脳会談が終わりました。その前後で、ドナルド・トランプ米大統領の支持率に変化はあったのでしょうか。米国の世論調査機関が、会談後の調査結果を続々発表しているので、紹介しましょう。

米CBSニュースが実施した世論調査(18年6月14-17日実施)によれば、トランプ大統領の支持率は42%で、会談前と比べてわずか2ポイントの伸びでした。世論調査で定評のある米クイニピアック大学(東部コネチカット州)が行った調査(18年6月20日発表)でも同様に、トランプ氏の支持率は43%で、会談前の調査(同月6日発表)と比較して3ポイント上向いただけです。米ギャラップ社の世論調査(同月11-17日実施)においても、トランプ氏の支持率は45%と、こちらも3ポイントの増加でした。

さらに、ロイター通信とグローバル調査会社イプソスが行った共同世論調査(同月15-19日実施)でも、トランプ氏の支持率はクイニピアック大学と同じ43%で、会談前の調査と比べるとこちらは5ポイント伸びています。

いずれにせよ、史上初の米朝首脳会談でしたが、政権支持率の増加は2ポイントから5ポイント程度で、飛躍的には増えませんでした。その理由を考察してみましょう。

 

トランプ支持者さえ懐疑的

第1に、米国民は今回の米朝首脳会談は「米国よりも北朝鮮にメリットが大きかった」と感じているからです。

世論調査で有名なマンマス大学(東部ニュージャージー州)の調査(18年6月12-13日実施)によると、「今回の米朝首脳会談でより多くの利益を得たのはどちらの国か」という質問に対して、「米国」と回答した人はわずか12%。それに対して「北朝鮮」と答えた人は38%にのぼり、26ポイントも差がつきました。

第2に、トランプ大統領の演出や発言が「不発」に終わったことです。

前述したマンマス大学の調査では、46%が「トランプ大統領がより強いリーダーに見えた」と回答しましたが、一方で45%が「金委員長がより強いリーダーに見えた」と答え、両氏の評価は拮抗しています。

会談の際、トランプ氏は金氏の背中に手を添えたり、左腕をポンポンと叩いたり、握手の際、腕を引っ張ったりして「オレのほうが強いリーダーだ」と見せる演出にエネルギーを費やしていました。発言量もトランプ大統領が金委員長を圧倒していました。しかし、トランプ氏のこれらの演出はあまり米国民にアピールしませんでした。

Photo by gettyimages

そして第3には、前述した通り、米国民は米朝首脳会談が「北朝鮮にとって成功であった」と捉えていることが挙げられます。

クイニピアック大学の世論調査では、「首脳会談は米国にとって成功であった」と回答した米国民が49%であったのに対して、「北朝鮮にとって成功であった」という回答は77%にのぼりました。

第4に、米朝首脳会談が実現したにもかかわらず、米国民は「北朝鮮の核の脅威はまだ残っている」と強く感じていることが挙げられます。

こちらもクイニピアック大学の調査をみてみましょう。同調査によると、約6割が「北朝鮮は核を放棄しない」と回答し、7割がトランプ大統領の「北朝鮮からの核の脅威はもはやない」という会談後の発言に疑念を示しました。

トランプ氏のこの「核の脅威ゼロ」発言に対しては、共和党支持者の間でも44%が同意しておらず、賛成の41%を3ポイント上回りました。「北朝鮮の核の脅威は去った」と主張するトランプ氏に、支持者でさえ多くが疑いの目を向けているという事実は注目に値します。