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この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった

若者たちの声に応える時がきている
山野 良一 プロフィール

2013年6月、子どもの貧困対策法が、すべての政党が賛成して成立した。

法律制定のインパクトは大きかった。

それまでその存在すら知らない人々の関心を、法律の制定、それに伴うマスコミ報道等がひきつけていった。

私はある自治体の幹部から、「法律制定以前、うちの市に貧困な子どもが存在するはずがないと思っていました」と吐露されたことがあった。根拠はあまりないイメージはやはり存在していたのだと思う。

〔PHOTO〕iStock

子ども食堂を始めた動機は?

もちろん、法律によって刺激を受けたのは行政関係者だけではない。一般市民も触発されている。

その代表格が子ども食堂の活動だろう。法律制定の翌年2014年ごろから、子ども食堂は全国各地で作られ一般市民の方を中心に運営がなされている。

現在では、小さいものまで含めれば1000近く(またはそれ以上)に及んでいる可能性がある。一種のブームと言っていいだろう。

子ども食堂(またはそれに類似の活動)を始めた方に会うといつも感じるのは、草の根的・自発的に動いたのは初めてという方ばかりであることだ。

また、みなさん「いてもたってもいられなくなった」と自分たちの活動の始まりを語ることが多い。子どもの貧困をめぐるマスコミ報道に触れて、内発的な思いに突き動かされたという。

 

子ども食堂は批判を浴びることもある。「それで子どもの貧困を解決できるのか」とか「子ども食堂に本当に困っている子どもは来ない」とか。

しかし、子ども食堂などをやっている人はそうした批判はあまり気にしていないように見える。それは、彼らが子どもの貧困問題とも深くつながるある危機感を持っているからではないかと思う。

ある子ども食堂を始めた年配の方からその活動動機としてこんなことを聞いたことがある。

「俺たちが小さい時もご飯に困ることはあった。でもそうした時、昔は隣の人がご飯を食べさせてくれた。隣がダメだったらその隣だった」

子どもの貧困は、ここ数年急上昇してきたわけではない。80年代から長期的な上昇トレンドにある。それと並行して進行しているのは、親族網の急速な縮小と地域コミュニティの関係の希薄化だろう。

確かに、かつての地域や親族間には閉鎖的な縛りがあり、息苦しさを感じる場合も多かった。しかし、その協力関係があったから生活がなりたっていた部分もあったのである。