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週刊現代

子どもに読ませたい、自分で読みたい「女の機微」を描いた名作物語

柚木麻子さんが選んだ

少女の成長がまぶしい

10冊選んでみると、全部女性が主人公の作品となりました。まずは『ひとりっ子エレンと親友』です。

エレンという小学生の女の子の生活を描いた作品で、物語の軸はオースチンという同級生との友情。二人が友情を結ぶきっかけは、バレエの教室です。

エレンはダサい毛糸の下着を着ていて、それを人に見られたくなかった。だから着替えの際には、いつも一番乗りで教室に来るんですが、ある日、オースチンが先に来ていて、下着が脱げない。そのため、下着を着けたままバレエをすることに。

 

彼女はそれこそ下着を見られたら人生が終わるくらいに思っていましたが、オースチンも実は同じようにダサい下着を着けていたんです。それだけにエレンの気持ちがよくわかり、オースチンはうまく、エレンの下着がバレることを回避させ、そこから二人の友情がはじまります。

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一緒に黒板消しをはたくなど、何気ない行動の一つひとつから「親友」の素晴らしさが伝わってきます。

作者のクリアリーの代表作『ゆかいなヘンリーくん』シリーズなど、他作品にもエレンとオースチンが脇役として出てきます。そこでの二人は嫌味なコンビみたいな印象ですが、彼女たちにはどんな物語があったのかを想像させられ、別の視点を持つことができます。

同様に小学生同士の友情を描いた『おちゃめなふたご』も私にとって貴重な作品です。この作品ではイギリスの寄宿舎を舞台に、さまざまな女の子たちの人間模様が繰り広げられます。

イギリスでは素敵なお姫さまになれというよりは、騎士道精神と言いますか、勉強もスポーツもできる自立した女性を志向するところがあります。

本作にもその社会の風潮が色濃く滲んでおり、だからこそ少女たちの成長が愛おしい。親世代には、わが子にもこのように成長してほしいと感じ、グッとくるものがあると思います。