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W杯では日本が健闘中なのに、外交では日本だけ追いつけない理由

国際政治のルールは変わっている

国際政治W杯

ロシアW杯でサッカー日本代表が大活躍を見せている。よく考えれば、レギュラー11人のうち、Jリーグに在籍しているのはDF昌子源(鹿島アントラーズ)だけで、あとの10人は海外組だ。普段、世界レベルのサッカーを戦っていることが、日本活躍の原動力となっている気がする。

なぜ冒頭にサッカーの話をしたかと言えば、ワールドカップとJリーグの違いのようなことが、いま国際政治の舞台でも起こっているからだ。

トランプ大統領という特異な大統領が、昨年1月にアメリカに誕生して以降、国際政治のスタイルが一新された。ルールこそ変わっていないが、これまで考えられなかった戦術、手法、スピードがとられるようになった。国際政治というピッチはまさに、Jリーグのレベルからワールドカップのレベルへと、一気呵成に変貌を遂げたのである。

一例を挙げれば、トランプ大統領は、定例の記者会見などは開かず、ツイッターで政策を発表し、意見を表明する。

6月12日にシンガポールで金正恩委員長との歴史的な米朝首脳会談を行うという重大ニュースさえも、5月10日に自らのツイッターで発表した。それは1日24時間、いつ発せられるか知れないため、各国の外務省は「トランプ・ツイッター担当」を置いて、ディフェンスするようになったほどだ。

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また、トランプ大統領には「同盟国」という意識も希薄である。「昨日の友は今日の敵」というビジネス界に長年、身を置いてきたため、信じられるのは「身内」(自国)だけなのだ。そのため、NATO(北大西洋条約機構)の同盟相手であるEUに平気で経済制裁を課したり、6月12日のシンガポールでの会見では、長年の同盟国・韓国の立場も顧みずに、「在韓米軍を撤退させたい」と述べたりした。

もう一つの特徴は、政策決定が移ろいやすいことである。

前述のように5月10日、トランプ大統領は6月12日の米朝首脳会談実施を発表した。だが、5月24日には、「中止する」と発表。金正恩委員長に宛てた書簡に、中止のサインまでしてみせた。ところが数日でこれを撤回し、「やはり実施する」と言い出した。6月に入っても、やるのかやらないのか五里霧中の日が続いたあげく、結局は予定通りに開催した。

こうしたトランプ式の変幻自在なプレーに、アジア各国も翻弄され、混乱に陥った。それでも何とか対応していこうと、アジア各国は、それぞれの持ち味を生かした戦術で、必死に喰らいついている。今週は、そうした各国の現状について見ていきたい。

 

<中国>「我こそがフェアプレーヤー」戦略

先週のこのコラムで述べたように、6月15日の習近平主席の65歳の誕生日を見透かしたかのように、トランプ大統領は対中経済制裁を発表した。計500億ドル分の中国からの輸入品に25%の関税をかけ、その第一弾となる340億ドル分を、7月6日に開始するというものだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56171

これに対して中国は、「目には目を」の報復措置を発表した。それは、アメリカ産の659項目約500億ドル分の製品に対して、25%の関税をかける、そのうち545項目の約340億ドル分については、7月6日から追加関税を実施するというものだ。

こうして7月6日に火ぶたを切る「米中貿易戦争」が、単に今年11月の米中間選挙向けの一時的なものなのか、それとも20世紀の米ソ冷戦のような長期にわたる米中冷戦の始まりなのかは、まだ判断がつかない。アメリカの対中強硬派が勢いづけば、後者になる可能性も大いにある。ともあれ米中2大国が、初めて「がっぷり四つ」になって衝突することになる。

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中国はアメリカとの「決戦」を前に、6月22日と23日、北京で中央外事工作会議を開いた。いわば「対トランプ決起集会」である。

参加者は、中国共産党のトップ7(プラス王岐山副主席)を始め、204人の中央委員(失脚者を除く)、全国人民代表大会(国会)常務委員会幹部、中国人民政治協商会議(諮問委員会)幹部、国務院(中央官庁)の大臣、司法検察幹部、地方自治体トップ、大型国有企業トップ、人民解放軍幹部、それに世界中に散らばっている中国大使たちだ。